20.オレの責任
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その日の午後、ホームルーム。
「・・・・あれ?宮田はどうした?」
担任が、宮田がいないことに気づきクラスメイトに問いかけた。
昼休み直後から姿を消した宮田にクラスメイトは気づいていたが、それを担任に告げてあげるようなつながりはなかった。
「ったく、今度は無断早退か・・・アイツは一度親御さんを呼ぶ必要があるな」
担任はボソボソと文句を言いながらホームルームを続けた。
蓼丸は何か言いたげに口を開いたが、色々考えた挙句にやめたらしい。
窓の外に目をやり、いないはずの宮田の背中を探した。
ピンポン、とインターホンを鳴らす。
はぁ〜い、と飛び抜けて明るい声。
いつもいい匂いのする玄関を作っている人の声。
・・・・優しい、母親の声が響く。
「あら、宮田くん?」
「どうも」
ドアをガチャリと開けて、奈々の母親は驚いて身を見開きながら、
「あらあら、どうしたの?」
「・・・・早退したと・・・」
「あぁ〜、お見舞いに来てくれたの?さ、どうぞ入って入って!」
まだ昼すぎだというのに宮田が見舞いに来たことを不思議にも思わないのが、この母親の天然たるところである。
母親は宮田の袖口をぐっと引っ張り、中へ招き入れた。相変わらずの強引さが、今日はちょっとありがたい。
「ごめんね、今寝ているのよ〜」
「・・・・具合は」
「別に大したことないのよ。軽い貧血みたいよ?覗いてあげて〜」
言い終わらないうちに次の言葉を被せてくる。
前のめりなコミュニケーションが、寡黙な宮田にはちょうどよかった。
ぐいぐいと背中を押され、2階に通される。母親は1階にいて、ついてこないらしい。宮田は勝手知ったる家とばかりに上がっていき、奈々の自室のドアを開けた。
カーテンが閉められていて薄暗い。
その中で、奈々はほとんど寝息も立てずに静かに寝ていた。エアコンの効いた部屋の中で、薄手の掛け布団に包まって頭だけが見えている状態だ。
静かに近づいて、ベッドの側に腰を下ろし、掛け布団を少し開けて顔を拝む。誰かが自室へ侵入してきたことなどつゆ知らず、深い眠りに落ちているらしい。すぅ、すぅ、と静かな寝息が微かに聞こえるだけだった。
チッチッ・・と掛け時計の秒針が聞こえるほどの静寂。
「・・・痩せたな」
宮田は奈々の額に手を当て、それから頬を撫でた。
ピクリとも動かない。
間も無くコンコンとノックの音がして、ドアが開いた。母親がお菓子とお茶を持ってきたようだ。
「お邪魔するわね。これ食べて?」
「・・・お気遣いなく」
宮田が精一杯の愛想を振り絞って、それでも人並み以下の愛想で答えると、母親は口に手を当てて、何か失敗してしまったかのようなそぶりを見せながら、
「あら?甘いもの嫌いだった?」
「いや・・・」
宮田は目を逸らして、
「節制してるんで」
そう言うと、母親は合点がいったとばかりに目を見開いて、
「あ、そうなのね。じゃあ、下げた方がいいわね?」
「すいません」
「いいのよ、ごゆっくりね!」
母親は持ってきたお盆を持ってドアを閉めようとした際、宮田がじっと動かず奈々を見つめ続けているのを目撃した。ドアを閉めたあと、なんとも苦い顔をして、
「青春だわぁ〜」
と言いながら、階段を降りて行った。
「・・・・あれ?宮田はどうした?」
担任が、宮田がいないことに気づきクラスメイトに問いかけた。
昼休み直後から姿を消した宮田にクラスメイトは気づいていたが、それを担任に告げてあげるようなつながりはなかった。
「ったく、今度は無断早退か・・・アイツは一度親御さんを呼ぶ必要があるな」
担任はボソボソと文句を言いながらホームルームを続けた。
蓼丸は何か言いたげに口を開いたが、色々考えた挙句にやめたらしい。
窓の外に目をやり、いないはずの宮田の背中を探した。
ピンポン、とインターホンを鳴らす。
はぁ〜い、と飛び抜けて明るい声。
いつもいい匂いのする玄関を作っている人の声。
・・・・優しい、母親の声が響く。
「あら、宮田くん?」
「どうも」
ドアをガチャリと開けて、奈々の母親は驚いて身を見開きながら、
「あらあら、どうしたの?」
「・・・・早退したと・・・」
「あぁ〜、お見舞いに来てくれたの?さ、どうぞ入って入って!」
まだ昼すぎだというのに宮田が見舞いに来たことを不思議にも思わないのが、この母親の天然たるところである。
母親は宮田の袖口をぐっと引っ張り、中へ招き入れた。相変わらずの強引さが、今日はちょっとありがたい。
「ごめんね、今寝ているのよ〜」
「・・・・具合は」
「別に大したことないのよ。軽い貧血みたいよ?覗いてあげて〜」
言い終わらないうちに次の言葉を被せてくる。
前のめりなコミュニケーションが、寡黙な宮田にはちょうどよかった。
ぐいぐいと背中を押され、2階に通される。母親は1階にいて、ついてこないらしい。宮田は勝手知ったる家とばかりに上がっていき、奈々の自室のドアを開けた。
カーテンが閉められていて薄暗い。
その中で、奈々はほとんど寝息も立てずに静かに寝ていた。エアコンの効いた部屋の中で、薄手の掛け布団に包まって頭だけが見えている状態だ。
静かに近づいて、ベッドの側に腰を下ろし、掛け布団を少し開けて顔を拝む。誰かが自室へ侵入してきたことなどつゆ知らず、深い眠りに落ちているらしい。すぅ、すぅ、と静かな寝息が微かに聞こえるだけだった。
チッチッ・・と掛け時計の秒針が聞こえるほどの静寂。
「・・・痩せたな」
宮田は奈々の額に手を当て、それから頬を撫でた。
ピクリとも動かない。
間も無くコンコンとノックの音がして、ドアが開いた。母親がお菓子とお茶を持ってきたようだ。
「お邪魔するわね。これ食べて?」
「・・・お気遣いなく」
宮田が精一杯の愛想を振り絞って、それでも人並み以下の愛想で答えると、母親は口に手を当てて、何か失敗してしまったかのようなそぶりを見せながら、
「あら?甘いもの嫌いだった?」
「いや・・・」
宮田は目を逸らして、
「節制してるんで」
そう言うと、母親は合点がいったとばかりに目を見開いて、
「あ、そうなのね。じゃあ、下げた方がいいわね?」
「すいません」
「いいのよ、ごゆっくりね!」
母親は持ってきたお盆を持ってドアを閉めようとした際、宮田がじっと動かず奈々を見つめ続けているのを目撃した。ドアを閉めたあと、なんとも苦い顔をして、
「青春だわぁ〜」
と言いながら、階段を降りて行った。