16.爆発
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1ヶ月ぶりの再会では、1ラウンドでは飽きたらなかったらしい。
結局2ラウンド目を自室で行うことになり、デートだからと粧し込んだ服や下着は全て剥ぎ取られ、年相応の軽いメイクもさらに薄まってしまった。
「腹減ったな」
宮田が天井を見つめながらボソリと呟く。
「・・・・1時半ですからね」
「そろそろ行くか?」
男は情事の後すぐに動けるのかもしれないが、女はこれから再び姿を整えなければならない。
もうランチの時間ではすっかりなくなってしまったし、出かける準備だって時間が必要だ。嫌味を込めて時刻を告げたのに、宮田には全く響かなかったらしい。
「冷蔵庫に冷凍パスタあるから、それ食べない?」
「オレは別になんでもいいけど」
「じゃあ準備してくるから・・・お母さん帰ってきちゃったら困るから、服着といてよね」
「わかってるよ」
1ヶ月ぶりの再開はドアを開けて1分でセックス。
お洒落して楽しむはずだったデートは家で冷凍パスタを食べるコースへ。
宮田は本当に、乙女のいろいろな妄想を打ち砕いてくれる。
いい意味では男らしい、見た目とは正反対の野獣系なのかもしれないが、あまりにもギャップが激しすぎる。
リビングで遅めの昼食を済ませた後、奈々と宮田は再び奈々の部屋へ戻った。
そして、部屋のクローゼットを開けて、中から紙袋を取り出し、宮田の目の前へ差し出した。
宮田が訝しげな表情を浮かべたのを見て、奈々は補足を述べる。
「昨日・・誕生日、だったでしょ」
「・・・そうだっけ」
「そうよ!はい、これ!」
当の本人は、どうやら自分の誕生日などすっかり忘れていたらしい。
奈々は昨日電話をしようか迷った挙句、今日会うことになっていたし、寝ているかもしれないし・・・などかけない理由ばかり探して悶々としていたと言うのに。
宮田は紙袋からプレゼントを取り出し、包装を丁寧に外していく。
大きさと形状から、CDであることは容易に想像できたが、姿を現したカバーを見て手を止めた。
それはかつて、2人が一緒に見に行った映画”トルネード”のサウンドトラックだった。
宮田の手や目線が止まってしばらく経つので、奈々はもしやと思い、こそりと聞く。
「・・・まさかもう持ってた?」
「持ってない」
「本当?」
「嘘ついてどうするんだよ」
奈々は“トルネード”を作ったスティーブン監督の大ファンだった。
かつてまだ木村に片思いをしていた頃。
木村を映画に誘って断られた際に、宮田もファンであることを偶然知り、余ったチケットで誘って一緒に観に行ったことがある。
「欲しかったんだ、これ」
「そう?よかったぁ。やっぱりスティーブン監督といえばジョン・ハーマンの音楽じゃない?どの映画もサントラ揃えておきたくなるよね!」
大好きな映画の話になって急に生き生きと輝き出した奈々に、嫌な顔をせずに相槌を打つ宮田。どうやら宮田も、この手のマニアックな話は好きらしい。
「聞いてみようぜ」と宮田が言ったのをきっかけに、音楽を聴きながらオタク話に花が咲く。気がつくと時間は3時近くになっていて、宮田が家を出なければならないと言っていた4時まであと1時間しかなかった。