15.止まってよ
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もはや目の前の言葉が宇宙語にすら思えたが、宮田はポーカーフェイスが崩れていないことを祈りながらただ固まって聞いている。
「あ、ひょっとして全然知らなかった?まぁ、そんなわけで高杉さんに見せてもらう計画はナシよね」
蓼丸が嬉しそうにケラケラと笑う。宮田は内心の動揺を悟られないように、腕を組み換えて目を閉じた。
「宮田くん、校則違反のバイトもして、尚且つ宿題も全くやってないとなったら、少なくとも停学・・・下手したら退学かもよ?」
「うるせぇな」
嬉々とした蓼丸の声色に思わず反論してしまう。すると蓼丸は余計嬉しそうに、
「じゃあさ、私が助けてあげてもいいよ」
「別に」
「あ、退学になってもいいんだあ?」
“退学”の二文字を前に父親の顔が浮かぶ。学業を怠らないことを条件に許されたプロボクサーの道。それが“高校中退”となるとどうなるか・・・・は目に見えていた。
父親は、自分がプロボクサーとして志半ばで挫折し、その後の再就職で苦労した経験から、宮田には少なくとも高校を出て、願わくば大学まで・・・という希望を少なからず抱いていたのだった。
そんな親心を知ってか知らずか、当の息子は学業には全く興味がなかったが、父親との約束は守らねばならないと、幼心に使命感を忘れてはいなかった。
「ふふふ。交渉成立だね」
「何がだよ」
蓼丸は、レジ横にあったメモとペンを取り出して、さらさらと何かを書き終えると宮田にそれを突き付けた。
「宿題、写したかったら連絡してよ」
「・・・だから、別に・・」
「頑張って早く終わったら、その分高杉さんとデートできる時間も増えるかもよん♪」
奈々の名前を出されては断る術がない。呆気にとられた一瞬で、メモは制服のポケットにねじ込まれた。
「じゃね♪」
会計を終えた商品をぶら下げて、蓼丸は自動ドアの向こう側へと消えていった。
相手が完全にコンビニを離れたと思われるタイミングで、ねじ込まれたメモをポケットから取り出す。
メモには電話番号とハートマークだけが書かれている。
宮田はそれをチラリを確認した後、拳でグシャリと握りしめて、再びポケットに仕舞い込んだ。
「あ、ひょっとして全然知らなかった?まぁ、そんなわけで高杉さんに見せてもらう計画はナシよね」
蓼丸が嬉しそうにケラケラと笑う。宮田は内心の動揺を悟られないように、腕を組み換えて目を閉じた。
「宮田くん、校則違反のバイトもして、尚且つ宿題も全くやってないとなったら、少なくとも停学・・・下手したら退学かもよ?」
「うるせぇな」
嬉々とした蓼丸の声色に思わず反論してしまう。すると蓼丸は余計嬉しそうに、
「じゃあさ、私が助けてあげてもいいよ」
「別に」
「あ、退学になってもいいんだあ?」
“退学”の二文字を前に父親の顔が浮かぶ。学業を怠らないことを条件に許されたプロボクサーの道。それが“高校中退”となるとどうなるか・・・・は目に見えていた。
父親は、自分がプロボクサーとして志半ばで挫折し、その後の再就職で苦労した経験から、宮田には少なくとも高校を出て、願わくば大学まで・・・という希望を少なからず抱いていたのだった。
そんな親心を知ってか知らずか、当の息子は学業には全く興味がなかったが、父親との約束は守らねばならないと、幼心に使命感を忘れてはいなかった。
「ふふふ。交渉成立だね」
「何がだよ」
蓼丸は、レジ横にあったメモとペンを取り出して、さらさらと何かを書き終えると宮田にそれを突き付けた。
「宿題、写したかったら連絡してよ」
「・・・だから、別に・・」
「頑張って早く終わったら、その分高杉さんとデートできる時間も増えるかもよん♪」
奈々の名前を出されては断る術がない。呆気にとられた一瞬で、メモは制服のポケットにねじ込まれた。
「じゃね♪」
会計を終えた商品をぶら下げて、蓼丸は自動ドアの向こう側へと消えていった。
相手が完全にコンビニを離れたと思われるタイミングで、ねじ込まれたメモをポケットから取り出す。
メモには電話番号とハートマークだけが書かれている。
宮田はそれをチラリを確認した後、拳でグシャリと握りしめて、再びポケットに仕舞い込んだ。