12.手伝えよ
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電車を乗り継ぎ、奈々の家に着くまでの1時間弱。
宮田はずっと奈々の手を握って離さなかった。
普段は「暑い」なんて言われて振り解かれることもある手を、夕方とはいえまだまだ暑い夏の日にずっとずっと握り続けたことには何か、特別な意味を感じざるを得ない。
「宮田・・・暑いんだけど」
わざと意地悪なことを言ってみたが、見事に無視されてしまった。
ちらりと横目で反応を見ても、見事なまでのポーカーフェイス。
家の前について、足を止めた段階でようやく、手を離してくれた。
「じゃあ・・・また明日ね」
「ああ・・・じゃあな」
そう言って、お互いに動こうとしない。
奈々は宮田がくるりと背を向けて去るのを待っていて、宮田は奈々が家の中に入ってくのを待っているからだ。
何か動き出すきっかけを作らないと、と思って、奈々が手を上げて「じゃあ」と再び切り出そうとしたときだった。
宮田が一歩踏み出して、ぎゅっと音がしそうなほどに奈々を抱きしめた。
深い深いハグの中で、宮田の心臓が大きな音を立てて動いているのを聞く。
宮田は額にキスを一つ落として、ポンポンと頭を叩いたあと、くるりと体の向きを変え、奈々の顔も見ずに去っていった。
嵐のように過ぎた一連の動作。
1人残された自分の体には、余韻がまとわりついて離れない。
「・・・意地っ張り」
初めてのハグでもなければキスでもない。
付き合いたてと言うわけでもない。
なのにいつまでも冷めないこの新鮮感はどこからくるんだろう。
見たことない顔を見せられるたびに、深みにハマって動けなくなる。
いつもツンツンして1人でいるくせに、あんな寂しそうな顔しないで。
家に入らないで追いかけたくなる。
だけど明かりのついた玄関がそれを許さない。
グッと堪えて背を向ける。
背中がヒリヒリとして、痛い。
宮田はずっと奈々の手を握って離さなかった。
普段は「暑い」なんて言われて振り解かれることもある手を、夕方とはいえまだまだ暑い夏の日にずっとずっと握り続けたことには何か、特別な意味を感じざるを得ない。
「宮田・・・暑いんだけど」
わざと意地悪なことを言ってみたが、見事に無視されてしまった。
ちらりと横目で反応を見ても、見事なまでのポーカーフェイス。
家の前について、足を止めた段階でようやく、手を離してくれた。
「じゃあ・・・また明日ね」
「ああ・・・じゃあな」
そう言って、お互いに動こうとしない。
奈々は宮田がくるりと背を向けて去るのを待っていて、宮田は奈々が家の中に入ってくのを待っているからだ。
何か動き出すきっかけを作らないと、と思って、奈々が手を上げて「じゃあ」と再び切り出そうとしたときだった。
宮田が一歩踏み出して、ぎゅっと音がしそうなほどに奈々を抱きしめた。
深い深いハグの中で、宮田の心臓が大きな音を立てて動いているのを聞く。
宮田は額にキスを一つ落として、ポンポンと頭を叩いたあと、くるりと体の向きを変え、奈々の顔も見ずに去っていった。
嵐のように過ぎた一連の動作。
1人残された自分の体には、余韻がまとわりついて離れない。
「・・・意地っ張り」
初めてのハグでもなければキスでもない。
付き合いたてと言うわけでもない。
なのにいつまでも冷めないこの新鮮感はどこからくるんだろう。
見たことない顔を見せられるたびに、深みにハマって動けなくなる。
いつもツンツンして1人でいるくせに、あんな寂しそうな顔しないで。
家に入らないで追いかけたくなる。
だけど明かりのついた玄関がそれを許さない。
グッと堪えて背を向ける。
背中がヒリヒリとして、痛い。