12.手伝えよ
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2人でスーパーのカートを押す。
なんだか新婚みたいだ、なんてニヤついた顔を引き締めるように頬をつねってみる。
家のお使い以外では、あまりうろつくことのない食品売り場。
宮田は手慣れた様子で野菜なんかを選んでいる。
「あ、スイカ。美味しそう」
「・・・・」
「あ、マンゴー!598円だよ安いね!」
「・・・そうだな」
一人暮らしの男子が買わないものばかり見ては目を輝かせる奈々。ふぅと小さくため息を吐きながら、宮田はカートを転がした。
「トマト買うの?」
「・・・いいのがあればな」
1個98円と書かれた棚に、トマトがずらずらと並んでいる。
宮田が手にとってじっくり観察しているのがもどかしく、奈々は目の前にあった適当なトマトを差し出して、
「これいいんじゃない?」
「・・・ダメだ」
「え?なんで」
トマトなんてどれも同じと思っていたところに思わぬ否定を食い、奈々は目を丸くする。すると宮田はトマトを棚に戻しながら、
「これはヘタが枯れてるだろ」
「へ、へぇ・・・」
「全体的にツヤもないし。今日はやめておく」
「そ、そう・・・」
奈々は詳しく知らないが、宮田は幼少の頃から自炊をこなしてきた苦労人だ。普段学校で私生活が謎とかミステリアスとか言われている宮田が、実は真剣にトマトを選ぶ庶民的な一面を持っているなんて、誰が想像つくだろうか。
自分は普段、母親の後ろについて値段も見ずに食べたいものをカゴにポイポイ入れてるだけなのに。同い年の宮田はトマトの鮮度を気にしながら買い物をしているのか・・・
隣を歩く人物がやけに大人びて見え、なんだか遠く遠くに感じられた。
なんだか新婚みたいだ、なんてニヤついた顔を引き締めるように頬をつねってみる。
家のお使い以外では、あまりうろつくことのない食品売り場。
宮田は手慣れた様子で野菜なんかを選んでいる。
「あ、スイカ。美味しそう」
「・・・・」
「あ、マンゴー!598円だよ安いね!」
「・・・そうだな」
一人暮らしの男子が買わないものばかり見ては目を輝かせる奈々。ふぅと小さくため息を吐きながら、宮田はカートを転がした。
「トマト買うの?」
「・・・いいのがあればな」
1個98円と書かれた棚に、トマトがずらずらと並んでいる。
宮田が手にとってじっくり観察しているのがもどかしく、奈々は目の前にあった適当なトマトを差し出して、
「これいいんじゃない?」
「・・・ダメだ」
「え?なんで」
トマトなんてどれも同じと思っていたところに思わぬ否定を食い、奈々は目を丸くする。すると宮田はトマトを棚に戻しながら、
「これはヘタが枯れてるだろ」
「へ、へぇ・・・」
「全体的にツヤもないし。今日はやめておく」
「そ、そう・・・」
奈々は詳しく知らないが、宮田は幼少の頃から自炊をこなしてきた苦労人だ。普段学校で私生活が謎とかミステリアスとか言われている宮田が、実は真剣にトマトを選ぶ庶民的な一面を持っているなんて、誰が想像つくだろうか。
自分は普段、母親の後ろについて値段も見ずに食べたいものをカゴにポイポイ入れてるだけなのに。同い年の宮田はトマトの鮮度を気にしながら買い物をしているのか・・・
隣を歩く人物がやけに大人びて見え、なんだか遠く遠くに感じられた。