12.手伝えよ
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「え?ちょ、ちょっと。お父さんは?え?なんで?」
「・・・親父はまだあの家に残ってる」
「え、えええ??」
「あの家・・というか土地なんだけど・・売ることになって」
事情を聞けばなんでも、あの一角にマンションを建てる計画があるらしい。
近隣住民も高齢化していたのもあって、計画に同意するものが多く、宮田家もそれに乗っかった形だそうだ。
改めて部屋の中を見渡すと、ベッドと机、本棚、それから冷蔵庫や電子レンジなど簡単な設備があるばかりで、また積み上げられた段ボールもそれほど多くなかった。
「家から色々持ってきたから、足りないものってのもそんなにないんだけど」
と言いながら、宮田がベッドに腰掛ける。
奈々はとりあえず、ベッドに背を預けるようにして床に座った。
「で・・・私、何を手伝えばいいの?」
引っ越しはすでに完了しているし、主だった物はもうすでに整頓されている。
あとは服だの本だの個人的なものばかりなので、手伝う余地がない。
不思議に思って奈々が聞いてみると、宮田は
「二つある。ひとつは買い出し」
「か、買い出し・・・」
「冷蔵庫が空なんだよ。それともう一つは」
宮田はそう言って立ち上がり、机の上においていた数学の教科書を手に持ち、奈々の頭の上に乗せた。
「明日、指されそうなんだよ」
ま行の”宮田”は月の後半以降、先生に指されやすい。
以前から宿題を他人のコピーで済ます男ではあったが、もう直ぐ夏休みなのもあり、またジムの移籍や引越しなどもあり、ますます勉強が疎かになっているようだ。
「・・・だから?」
「よろしくな」
「たまには自分でやりなさいよ」
「英語はやってるだろ」
「好きなことしかしないんだから」
「買い出しに行くぞ。早くしろよ」
小言をかき消すかのように宮田が立ち上がり、さっさと玄関の方へ歩いて行ってしまった。
「ちょっと待ってよ!もう・・話終わってないんだけどな!?」
呆れと怒りを交えながら背中に投げかけた言葉は、差し出された手の温もりに一瞬でかき消されてしまった。
「・・・親父はまだあの家に残ってる」
「え、えええ??」
「あの家・・というか土地なんだけど・・売ることになって」
事情を聞けばなんでも、あの一角にマンションを建てる計画があるらしい。
近隣住民も高齢化していたのもあって、計画に同意するものが多く、宮田家もそれに乗っかった形だそうだ。
改めて部屋の中を見渡すと、ベッドと机、本棚、それから冷蔵庫や電子レンジなど簡単な設備があるばかりで、また積み上げられた段ボールもそれほど多くなかった。
「家から色々持ってきたから、足りないものってのもそんなにないんだけど」
と言いながら、宮田がベッドに腰掛ける。
奈々はとりあえず、ベッドに背を預けるようにして床に座った。
「で・・・私、何を手伝えばいいの?」
引っ越しはすでに完了しているし、主だった物はもうすでに整頓されている。
あとは服だの本だの個人的なものばかりなので、手伝う余地がない。
不思議に思って奈々が聞いてみると、宮田は
「二つある。ひとつは買い出し」
「か、買い出し・・・」
「冷蔵庫が空なんだよ。それともう一つは」
宮田はそう言って立ち上がり、机の上においていた数学の教科書を手に持ち、奈々の頭の上に乗せた。
「明日、指されそうなんだよ」
ま行の”宮田”は月の後半以降、先生に指されやすい。
以前から宿題を他人のコピーで済ます男ではあったが、もう直ぐ夏休みなのもあり、またジムの移籍や引越しなどもあり、ますます勉強が疎かになっているようだ。
「・・・だから?」
「よろしくな」
「たまには自分でやりなさいよ」
「英語はやってるだろ」
「好きなことしかしないんだから」
「買い出しに行くぞ。早くしろよ」
小言をかき消すかのように宮田が立ち上がり、さっさと玄関の方へ歩いて行ってしまった。
「ちょっと待ってよ!もう・・話終わってないんだけどな!?」
呆れと怒りを交えながら背中に投げかけた言葉は、差し出された手の温もりに一瞬でかき消されてしまった。