11.何もない
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フーコが真剣な面持ちで見てくるのを直視できない。
自分たちの付き合いが、いわゆる普通の状態ではないことくらい自覚している。
それについての疑問を投げかけるようなフーコの目線が、胸にじわじわと食い込んでくる。
一生懸命何かをごまかしているような水臭い態度に、フーコは痺れを切らして、両手を頬に押し当てて、無理やり奈々の顔を正面に向かせた。
「奈々、前に言ったの覚えてる?」
「・・・にゃ、にゃにお・・・」
「別に何も聞かないけど、言いたくなったら聞くよって」
フーコが言っているのは、宮田と付き合う前のことだ。
いろいろあって落ち込んでいるときに、何の力にもなれないのが辛かったと言ってくれた友人たち。
今後も無理には聞かないけど、言いたくなったら聞くよと言ってくれていた。
ずっとずっとその言葉に甘え続けてきたけれど・・・
「本当は待ってたよ、奈々から言ってくれるの」
「・・・」
「どうして・・・普段はうっかり変なこととか口走るくせに・・・肝心なことは言わないの?」
「・・そ、それは・・」
「私たちのこと、信用してないの?」
「ち、違う!!」
フーコから出た思わぬ言葉を断ち切るように声を荒げ、頬に押し当てられていた両手を押し上げて距離を取った。そうして、瞬間的な抑えきれない衝動が、戯けていた自分の仮面を吹き飛ばしてしまう。
「フーコには・・・わかんないよ!!」
奈々が初めてと言っていいくらい感情をあらわにして声を荒げたのを見て、フーコはおろかその周りを歩いていただけの連中も驚いて、奈々の方に目を向けた。
「フーコは毎日電話したりデートしたりしてるかもしれないけど・・私は・・私たちは違うよ!!何でもかんでも報告しあうのが付き合ってるってことなの!?」
「そ、そんなこと言ってないじゃん!」
見たことのない剣幕で声を荒げる奈々に驚き、フーコはたじろいで後ずさる。
「普通のお付き合いしてるフーコに何がわかるの!?」
そこまで怒鳴ってから、周りがジロジロと自分を見ていることに気がつき、ハッと我に返る。我に返ったと同時に、気持ちを堰き止めていた何かがズレて、涙が溢れ出す。
「ほっといてよ!」
奈々はフーコの顔も見ずに、玄関まで一目散に駆けて行った。
ザワザワと騒がしくなる廊下にトモやハルがやってきて、
「ど、どうしたのアンタたち」
「・・・知らない・・・何よ!奈々なんてもう知らないから!」
普段飄々としていて割と温厚な奈々に初めて声を荒げられ、ショックで怒りが治らない様子のフーコ。
「まーまー、落ち着きなよ・・・」
2人はそれを宥めながら、あの奈々がこんな風になるなんてどうしたものか、といなくなった廊下の奥をただただ心配そうに見つめていた。
自分たちの付き合いが、いわゆる普通の状態ではないことくらい自覚している。
それについての疑問を投げかけるようなフーコの目線が、胸にじわじわと食い込んでくる。
一生懸命何かをごまかしているような水臭い態度に、フーコは痺れを切らして、両手を頬に押し当てて、無理やり奈々の顔を正面に向かせた。
「奈々、前に言ったの覚えてる?」
「・・・にゃ、にゃにお・・・」
「別に何も聞かないけど、言いたくなったら聞くよって」
フーコが言っているのは、宮田と付き合う前のことだ。
いろいろあって落ち込んでいるときに、何の力にもなれないのが辛かったと言ってくれた友人たち。
今後も無理には聞かないけど、言いたくなったら聞くよと言ってくれていた。
ずっとずっとその言葉に甘え続けてきたけれど・・・
「本当は待ってたよ、奈々から言ってくれるの」
「・・・」
「どうして・・・普段はうっかり変なこととか口走るくせに・・・肝心なことは言わないの?」
「・・そ、それは・・」
「私たちのこと、信用してないの?」
「ち、違う!!」
フーコから出た思わぬ言葉を断ち切るように声を荒げ、頬に押し当てられていた両手を押し上げて距離を取った。そうして、瞬間的な抑えきれない衝動が、戯けていた自分の仮面を吹き飛ばしてしまう。
「フーコには・・・わかんないよ!!」
奈々が初めてと言っていいくらい感情をあらわにして声を荒げたのを見て、フーコはおろかその周りを歩いていただけの連中も驚いて、奈々の方に目を向けた。
「フーコは毎日電話したりデートしたりしてるかもしれないけど・・私は・・私たちは違うよ!!何でもかんでも報告しあうのが付き合ってるってことなの!?」
「そ、そんなこと言ってないじゃん!」
見たことのない剣幕で声を荒げる奈々に驚き、フーコはたじろいで後ずさる。
「普通のお付き合いしてるフーコに何がわかるの!?」
そこまで怒鳴ってから、周りがジロジロと自分を見ていることに気がつき、ハッと我に返る。我に返ったと同時に、気持ちを堰き止めていた何かがズレて、涙が溢れ出す。
「ほっといてよ!」
奈々はフーコの顔も見ずに、玄関まで一目散に駆けて行った。
ザワザワと騒がしくなる廊下にトモやハルがやってきて、
「ど、どうしたのアンタたち」
「・・・知らない・・・何よ!奈々なんてもう知らないから!」
普段飄々としていて割と温厚な奈々に初めて声を荒げられ、ショックで怒りが治らない様子のフーコ。
「まーまー、落ち着きなよ・・・」
2人はそれを宥めながら、あの奈々がこんな風になるなんてどうしたものか、といなくなった廊下の奥をただただ心配そうに見つめていた。