11.何もない
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胸がチクチクする原因。
私は嫉妬してる。
羨ましいと思っている。
普通のお付き合い、というものに。
休み時間に相手のクラスへ行っておしゃべりするとか。
学校まで迎えに来てくれて一緒に帰るとか。
帰り道、ちょっと寄り道して流行りの店へ行くとか。
二人で写った写真を生徒手帳に入れて持ち歩くとか。
そんな、高校生らしいお付き合いの日常に、嫉妬する。
そして、そう思ってしまうことに対する、罪悪感。
宮田はビックリするほどボクシングにしか興味のない人。
朝から晩まで、頭の中はボクシング。
そこに飛び込んだ私は、ボクシングという大海の中で少し溺れかけている。そして時々流れてくる浮き輪に乗って、また放り出される、その繰り返し。
2年に上がってからはますますボクシングにのめり込んで行ってる。たしか17歳からプロになれると聞いたことがある。そのせいだってのはわかってる。
そういう相手を選んだのは私なのに。
相手は私に、なんの要求もないのに。
どうして私は、あれもこれも欲しがってしまうの。
どうして私は、頭の中の海を干からびさせたくなるの。
ボクサーだからストイック?
それともそんなの関係なく、元々そういう人?
会う時間のほとんどを・・・ああいうことばかりに費やして、最後にお互いのことを語ったのはいつだったろう。
『寂しかった』
と正直に打ち明けて返ってきた言葉は、
『オレにアイツを重ねるな』
宮田にたっちゃんを重ねる?
そんなわけない、絶対に。
優しいところは似ていても、そもそものタイプが全然違う2人。
重なるわけがないのに。
でも、胸が痛い本当の原因はこれじゃない。
この答えが私を打ちのめしたわけじゃない。
私を打ちのめし、見えない重石で背中を押さえつけているのは、
宮田は私と会えなくても寂しくないんだ、ってこと。
宮田は私と会えなくても、話ができなくても、顔を見なくても、平気なんだ。
私をふと思い出す瞬間ってあるんだろうか。
私がいてもいなくても、同じなんじゃないだろうか。
私の存在って、宮田の人生に何の影響も与えてないんじゃないか・・・・
教えてよ、宮田。
私は・・・何なの。
欲求不満を解消するだけの道具?
どうして私を・・・好きになってくれたの。
『後悔なんてするわけないだろ』
宮田が後悔しないように。
この関係が間違いだったと、思わないように。
気持ちを閉じ込めよう。
平気な顔をしよう。
宮田が、ボクシングに集中できるように。
私は・・・
チャイムが鳴り、授業が終わってからノートに目を落とす。
板書など何ひとつしていないまっさらなページが、窓から差し込む太陽を反射させて眩しく光っていた。
「なにも・・・ないなぁ」
私は嫉妬してる。
羨ましいと思っている。
普通のお付き合い、というものに。
休み時間に相手のクラスへ行っておしゃべりするとか。
学校まで迎えに来てくれて一緒に帰るとか。
帰り道、ちょっと寄り道して流行りの店へ行くとか。
二人で写った写真を生徒手帳に入れて持ち歩くとか。
そんな、高校生らしいお付き合いの日常に、嫉妬する。
そして、そう思ってしまうことに対する、罪悪感。
宮田はビックリするほどボクシングにしか興味のない人。
朝から晩まで、頭の中はボクシング。
そこに飛び込んだ私は、ボクシングという大海の中で少し溺れかけている。そして時々流れてくる浮き輪に乗って、また放り出される、その繰り返し。
2年に上がってからはますますボクシングにのめり込んで行ってる。たしか17歳からプロになれると聞いたことがある。そのせいだってのはわかってる。
そういう相手を選んだのは私なのに。
相手は私に、なんの要求もないのに。
どうして私は、あれもこれも欲しがってしまうの。
どうして私は、頭の中の海を干からびさせたくなるの。
ボクサーだからストイック?
それともそんなの関係なく、元々そういう人?
会う時間のほとんどを・・・ああいうことばかりに費やして、最後にお互いのことを語ったのはいつだったろう。
『寂しかった』
と正直に打ち明けて返ってきた言葉は、
『オレにアイツを重ねるな』
宮田にたっちゃんを重ねる?
そんなわけない、絶対に。
優しいところは似ていても、そもそものタイプが全然違う2人。
重なるわけがないのに。
でも、胸が痛い本当の原因はこれじゃない。
この答えが私を打ちのめしたわけじゃない。
私を打ちのめし、見えない重石で背中を押さえつけているのは、
宮田は私と会えなくても寂しくないんだ、ってこと。
宮田は私と会えなくても、話ができなくても、顔を見なくても、平気なんだ。
私をふと思い出す瞬間ってあるんだろうか。
私がいてもいなくても、同じなんじゃないだろうか。
私の存在って、宮田の人生に何の影響も与えてないんじゃないか・・・・
教えてよ、宮田。
私は・・・何なの。
欲求不満を解消するだけの道具?
どうして私を・・・好きになってくれたの。
『後悔なんてするわけないだろ』
宮田が後悔しないように。
この関係が間違いだったと、思わないように。
気持ちを閉じ込めよう。
平気な顔をしよう。
宮田が、ボクシングに集中できるように。
私は・・・
チャイムが鳴り、授業が終わってからノートに目を落とす。
板書など何ひとつしていないまっさらなページが、窓から差し込む太陽を反射させて眩しく光っていた。
「なにも・・・ないなぁ」