9.重ねるな
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閉館時間は午後5時。
初夏の5時はまだまだ明るい。
館外に出るや否や、宮田はパッと掴んだ手を離して、ポケットの中に仕舞い込んだ。
「早く来いよ」
「・・・行かない」
宮田の顔をじっと睨むようにして奈々が答えると、宮田は小さいため息をついて、再度奈々の手に手を伸ばしたが、奈々は振り解くように手を引っ込めた。
「・・・なんだよ」
思わぬ拒絶に宮田は思わず、すごんだ声で尋ねる。
しかし奈々は何も答えずに、ただじっと宮田をみている。その瞳にはうっすらと、涙が溜まり始めていた。
「帰るぞ」
「いや」
頑なな態度に痺れを切らした宮田は、大きなため息をついた後、おもむろに奈々を抱き上げた。
「え!?ちょ、ちょっと!!」
それは俗に言う“お姫様抱っこ”の図。
「や、ちょっと!バカじゃないの!?降ろしてよ!」
「いいから帰るぞ」
「やめてよ!もう・・・すっごい見られてるんだけど!?」
「お前のせいだからな」
お姫様抱っこの状態で、バス停までの道のりをずんずん歩いていく宮田。閉館直後とあって、周りにはそれなりに人がいる。そして誰もがこの騒ぎ立てるカップルの方に目を向けていた。
「や・・・わかった、一緒に帰るから!降ろしてよ早くー!!」
初夏の5時はまだまだ明るい。
館外に出るや否や、宮田はパッと掴んだ手を離して、ポケットの中に仕舞い込んだ。
「早く来いよ」
「・・・行かない」
宮田の顔をじっと睨むようにして奈々が答えると、宮田は小さいため息をついて、再度奈々の手に手を伸ばしたが、奈々は振り解くように手を引っ込めた。
「・・・なんだよ」
思わぬ拒絶に宮田は思わず、すごんだ声で尋ねる。
しかし奈々は何も答えずに、ただじっと宮田をみている。その瞳にはうっすらと、涙が溜まり始めていた。
「帰るぞ」
「いや」
頑なな態度に痺れを切らした宮田は、大きなため息をついた後、おもむろに奈々を抱き上げた。
「え!?ちょ、ちょっと!!」
それは俗に言う“お姫様抱っこ”の図。
「や、ちょっと!バカじゃないの!?降ろしてよ!」
「いいから帰るぞ」
「やめてよ!もう・・・すっごい見られてるんだけど!?」
「お前のせいだからな」
お姫様抱っこの状態で、バス停までの道のりをずんずん歩いていく宮田。閉館直後とあって、周りにはそれなりに人がいる。そして誰もがこの騒ぎ立てるカップルの方に目を向けていた。
「や・・・わかった、一緒に帰るから!降ろしてよ早くー!!」