6.言えないコト
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ギシギシとベッドが軋む音に紛れて、お互いの細やかな吐息とかすかな声が漏れ聞こえる。
宮田の首筋に手を回し、衝動を受け止めながらふと目に入った時計の針は、午後2時をさしていた。
「・・・いくぞ」
「・・うん」
先日のホワイトデー。
バレンタインのチョコのお礼にと、宮田は可愛らしい包装に包まれたキャンディを贈ってくれた。
そのことで浮かれていたのは認めるし、実際に2人とも度重なる“未遂”で気が急っていたのもあるとは思う。
その流れで、とうとう、そういうコトに至ってしまった。
付き合って4ヶ月程度。
よくよく考えてみると、結構な急展開だ。
“初めて”の時は、まともに歩くのさえ辛かった。
みんなこれの何が気持ちよくて続けているのか全くわからないほど、ただ痛いものとしか思えなかったものが。
今では、互いがその快楽を覚え、浸る余裕ができるほどにすらなった。
それなのに、大好きな人と一つになる幸せと、ただ本能の衝動に抗えなかった動物的部分が混ざって、ときどきふと複雑な気持ちになる。
この行為は、何のためのものなんだろう、と。
春休みになっても、宮田は毎日ジムへ練習に行く。
午前中や昼過ぎなど、普段は学校生活で潰れていた時間が自由になったことで、宮田には会いやすくなったが、だからと言ってどこかに遊びに行くような時間的余裕はなかった。
会えるとしても数時間程度。
その時間でできることといえば、コレくらい。
コトを終えた宮田は服も着ずにそのままうつ伏せに寝てしまっている。普段はキリッとしたところばかりを見せている男の、無防備な寝顔。愛しいと思う反面、こういうときは何だか憎たらしくさえも思えてくる。
こういう関係になる前は、いつも会えていたわけではないけど、いろいろなことを話したり、時には映画や食事に行ったり、相手の目を見て話す時間がたくさんあった気がする。
今は、相手の体に触れる時間はたくさんあるのに・・・
目を交わす時間がぐっと減ってしまった気がする。
「男って・・・・こんなもん?」
寝ている相手に呼びかけてみても、反応はない。
すぅすぅ、と上品な寝息を立てて、安心しきっているようだ。