5.バレンタイン・デイ
お名前設定はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「一郎、お前家にいるのか?」
突然ドアの外から聞こえてきた声に、2人は反射的に距離を取り、服を正す。
「・・・いるよ。忘れ物しちまったから」
「おお、そうか」
「こ、こんにちは!!!」
父親がドアを開けて入ってこないように、奈々は精一杯の大声を出して挨拶をした。
「あ・・・ああどうも。・・・ゴホン。まぁ早めにジムに行けよ」
「わかっているよ」
トントントン・・・と父親が階段を降りていく音が聞こえる。登ってくる音は全く聞こえてなかったのだから、いかに夢中になっていたか、自分たちの衝動に恐ろしさすら感じた。
「・・・・早く用意した方がいいんじゃないの」
乱れた着衣と髪を整えながら奈々が言うと、宮田はふうっと観念したように息を吐いて答えた。
「・・・そうだな・・・でも・・」
「でも?」
「・・・・」
こんな“状態”でジャージなんか着れるか!と思いつつ、奈々はそういった男の生理にはまるで疎いらしい。
「悪いけど・・・先に帰れるか?」
「う、うん。駅に自転車も置きっぱなしだし」
「悪いな」
「ううん・・・じゃあ・・・また・・」
奈々がコートを着て荷物を持って、宮田の部屋を出ていく。宮田はベッドに腰かけたまま、手を振るだけの簡単な見送りだ。
未遂も3回目となると、なかなかの生殺し。
しかし今回は、衝動に負けた完全なる一方的な態度で、一歩間違えれば相手に深い傷を負わせたかもしれなかった。
「・・・カッコ悪いにも程があるぜ」
火照った体が静まるまで、つまりベッドから立ち上がりジャージに着替えられるまでは、まだまだ時間がかかりそうだった。
突然ドアの外から聞こえてきた声に、2人は反射的に距離を取り、服を正す。
「・・・いるよ。忘れ物しちまったから」
「おお、そうか」
「こ、こんにちは!!!」
父親がドアを開けて入ってこないように、奈々は精一杯の大声を出して挨拶をした。
「あ・・・ああどうも。・・・ゴホン。まぁ早めにジムに行けよ」
「わかっているよ」
トントントン・・・と父親が階段を降りていく音が聞こえる。登ってくる音は全く聞こえてなかったのだから、いかに夢中になっていたか、自分たちの衝動に恐ろしさすら感じた。
「・・・・早く用意した方がいいんじゃないの」
乱れた着衣と髪を整えながら奈々が言うと、宮田はふうっと観念したように息を吐いて答えた。
「・・・そうだな・・・でも・・」
「でも?」
「・・・・」
こんな“状態”でジャージなんか着れるか!と思いつつ、奈々はそういった男の生理にはまるで疎いらしい。
「悪いけど・・・先に帰れるか?」
「う、うん。駅に自転車も置きっぱなしだし」
「悪いな」
「ううん・・・じゃあ・・・また・・」
奈々がコートを着て荷物を持って、宮田の部屋を出ていく。宮田はベッドに腰かけたまま、手を振るだけの簡単な見送りだ。
未遂も3回目となると、なかなかの生殺し。
しかし今回は、衝動に負けた完全なる一方的な態度で、一歩間違えれば相手に深い傷を負わせたかもしれなかった。
「・・・カッコ悪いにも程があるぜ」
火照った体が静まるまで、つまりベッドから立ち上がりジャージに着替えられるまでは、まだまだ時間がかかりそうだった。