49.弱いのは
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蓼丸の冷たい言葉の余韻の中、宮田の脳裏には涙を堪えて部屋を後にした奈々の後ろ姿がよぎった。
それと同時に、深い目覚めの直後に見た、涙を目にいっぱい溜めながら自分の手を握り締めていた、奈々の姿も同時に浮かぶ。
「アイツは確かによく泣くし、よく逃げもするけどよ」
宮田はグッと拳を握りしめ、自分に言い聞かせるように小さく呟いた。
「アイツの強さは・・・オレが誰よりも知っている」
凄むように睨みつけながらそう言い放つと、蓼丸は少し冷静さを取り戻して、髪の毛を整えながら次の言葉を待った。
「悪いけど、帰ってくれ」
「また来てもいい?」
被せ気味に蓼丸が聞くと、宮田は拳をグッと握って、蓼丸を見つめて行った。
「・・・もう、オレには関わるな」
「どうして」
「お前には世話になったと思っている。感謝もしている。だけど・・・そう言う気持ちを持つことはない」
程なくして例の無情な面会終了のアナウンスが流れた。
廊下は配膳の準備で忙しくなり、蓼丸は通りすがりのナースにも早く帰るように注意を受けた。
蓼丸はしばし黙っていたが、何か観念したような面持ちで立ち上がってコートを着て、それからあっけらかんとした声で呟いた。
「・・・あーあ。なんか、冷めちゃったなぁ」
宮田のベッドのカーテンを閉める手をちょっと止めて、それからチラリとすこしだけ後ろを振り向いて続ける。
「宮田くんがネチネチ思うだけで、何〜にもできない男だなんて、知らなかったぁ」
宮田を冷やかすような言葉をかけてはいるが、蓼丸の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。蓼丸は無理やり元気を絞り出すように声のトーンを上げて、さらに続けた。
「こんな男に本気になるなんて、馬っ鹿みたい」
目と目が合った二人はしばし動かずに、ただお互いの目を見つめていた。
先ほど通り過ぎたナースが再び病室にまだ人が残っているのを見て、今度は強めに注意を促す。
しかし、それを素直に聞き入れる二人ではない。
蓼丸の表情を受けて、宮田は心がズキズキと痛むのを感じてはいたが、情に流されそうになる自分をぐっと抑えて次の言葉を待つ。
宮田がずっと無言でいるので、蓼丸はプッと笑いを吹き出すようなそぶりを見せた。
「・・・ま、せいぜいネチネチ思い続けていたらいいわ、バイバイ」
蓼丸は震える口角を無理やり上げて笑い、後ろ手を振って病室を後にした。
それと同時に、深い目覚めの直後に見た、涙を目にいっぱい溜めながら自分の手を握り締めていた、奈々の姿も同時に浮かぶ。
「アイツは確かによく泣くし、よく逃げもするけどよ」
宮田はグッと拳を握りしめ、自分に言い聞かせるように小さく呟いた。
「アイツの強さは・・・オレが誰よりも知っている」
凄むように睨みつけながらそう言い放つと、蓼丸は少し冷静さを取り戻して、髪の毛を整えながら次の言葉を待った。
「悪いけど、帰ってくれ」
「また来てもいい?」
被せ気味に蓼丸が聞くと、宮田は拳をグッと握って、蓼丸を見つめて行った。
「・・・もう、オレには関わるな」
「どうして」
「お前には世話になったと思っている。感謝もしている。だけど・・・そう言う気持ちを持つことはない」
程なくして例の無情な面会終了のアナウンスが流れた。
廊下は配膳の準備で忙しくなり、蓼丸は通りすがりのナースにも早く帰るように注意を受けた。
蓼丸はしばし黙っていたが、何か観念したような面持ちで立ち上がってコートを着て、それからあっけらかんとした声で呟いた。
「・・・あーあ。なんか、冷めちゃったなぁ」
宮田のベッドのカーテンを閉める手をちょっと止めて、それからチラリとすこしだけ後ろを振り向いて続ける。
「宮田くんがネチネチ思うだけで、何〜にもできない男だなんて、知らなかったぁ」
宮田を冷やかすような言葉をかけてはいるが、蓼丸の目にはうっすらと涙が浮かんでいる。蓼丸は無理やり元気を絞り出すように声のトーンを上げて、さらに続けた。
「こんな男に本気になるなんて、馬っ鹿みたい」
目と目が合った二人はしばし動かずに、ただお互いの目を見つめていた。
先ほど通り過ぎたナースが再び病室にまだ人が残っているのを見て、今度は強めに注意を促す。
しかし、それを素直に聞き入れる二人ではない。
蓼丸の表情を受けて、宮田は心がズキズキと痛むのを感じてはいたが、情に流されそうになる自分をぐっと抑えて次の言葉を待つ。
宮田がずっと無言でいるので、蓼丸はプッと笑いを吹き出すようなそぶりを見せた。
「・・・ま、せいぜいネチネチ思い続けていたらいいわ、バイバイ」
蓼丸は震える口角を無理やり上げて笑い、後ろ手を振って病室を後にした。