47.許されるなら
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宮田の試合スケジュールについては、木村がお節介を焼いて逐一あれこれ報告してもらっていたので知っていた。
1度も見にいったことは無かったし、今後も行かないつもり。
これから受験も佳境を迎えるわけで、余裕とはいえない自分の成績を鑑みるに、他のことを考える余裕は全て受験に費やしたいと思っていたからだ。
そんな中に開催された11月の間柴戦。
その日の夜、木村から電話で事の顛末を聞いた奈々は、ショックのあまり言葉を失い、呆然と立ち尽くした。
いつぞやの試合で見た、リングで大の字に転がりぴくりとも動かない選手の姿がフラッシュバックする。
血を流して倒れ、ぐったりしている様子。
あの時に感じた胸騒ぎが現実となり、今、宮田がその状態で・・・命の危険に晒されていると思うと、全身の血が引いて冷たくなっていくのがわかった。
「おい・・・奈々、大丈夫か?」
「どうしよう・・・たっちゃん、どうしよう・・・」
「落ち着けよ」
「宮田が・・・・死んじゃったら・・・どうしよう・・・・!」
「バカ、死ぬかよ。控室じゃ意識戻ったって聞いてるぜ」
「でも・・・」
「体はどうにかなるんだよ。問題は心だ。プロで初黒星ってのは相当ダメージでかいからな・・・オレも・・・」
木村が何かしら話しているらしいが、全く頭に入ってこない。
宮田が血を流してリングに沈んでいる想像図ばかりが頭を回り、手足の感覚がまるで無い。
「とりあえず病院は聞いてきたぜ。太田中央病院だとよ」
木村の意図することは瞬時に理解できたが、奈々は咄嗟に頭を振って「ダメだよ」と呟いた。
「何がダメなんだよ」
「行けるわけない」
「・・・それは・・・行きたいってことか?」
「・・・・・そ、それは・・・」
「ひょっとしたらもう新しい恋人でもいるかもしれないぜ?お前が行っても邪魔になるかもな」
「・・・・」
電話越しにグズグズと鼻を啜る声が聞こえ、木村は言いすぎたと自分の意地悪を反省しながらも、
「いつまで意地張ってんだよ。本当は戻りたいんだろ」
「ち、ちが・・・」
「当たって砕けてこいよ。フラれた方が諦めもつくだろ」
「なんで振られる前提なのよ!たっちゃんのバカ!」
「いいから・・・」
「絶対行かない!!」
通話はプツッと無情な音を立てて途切れた。
木村は子機から流れてくるツーツーという無機質な電子音を3回ほど聞いた後、小さなため息をついて電源を切った。
「ったく・・・本当に戻れなくなるぞ?いいのかよ」
ーーーーーーー
1度も見にいったことは無かったし、今後も行かないつもり。
これから受験も佳境を迎えるわけで、余裕とはいえない自分の成績を鑑みるに、他のことを考える余裕は全て受験に費やしたいと思っていたからだ。
そんな中に開催された11月の間柴戦。
その日の夜、木村から電話で事の顛末を聞いた奈々は、ショックのあまり言葉を失い、呆然と立ち尽くした。
いつぞやの試合で見た、リングで大の字に転がりぴくりとも動かない選手の姿がフラッシュバックする。
血を流して倒れ、ぐったりしている様子。
あの時に感じた胸騒ぎが現実となり、今、宮田がその状態で・・・命の危険に晒されていると思うと、全身の血が引いて冷たくなっていくのがわかった。
「おい・・・奈々、大丈夫か?」
「どうしよう・・・たっちゃん、どうしよう・・・」
「落ち着けよ」
「宮田が・・・・死んじゃったら・・・どうしよう・・・・!」
「バカ、死ぬかよ。控室じゃ意識戻ったって聞いてるぜ」
「でも・・・」
「体はどうにかなるんだよ。問題は心だ。プロで初黒星ってのは相当ダメージでかいからな・・・オレも・・・」
木村が何かしら話しているらしいが、全く頭に入ってこない。
宮田が血を流してリングに沈んでいる想像図ばかりが頭を回り、手足の感覚がまるで無い。
「とりあえず病院は聞いてきたぜ。太田中央病院だとよ」
木村の意図することは瞬時に理解できたが、奈々は咄嗟に頭を振って「ダメだよ」と呟いた。
「何がダメなんだよ」
「行けるわけない」
「・・・それは・・・行きたいってことか?」
「・・・・・そ、それは・・・」
「ひょっとしたらもう新しい恋人でもいるかもしれないぜ?お前が行っても邪魔になるかもな」
「・・・・」
電話越しにグズグズと鼻を啜る声が聞こえ、木村は言いすぎたと自分の意地悪を反省しながらも、
「いつまで意地張ってんだよ。本当は戻りたいんだろ」
「ち、ちが・・・」
「当たって砕けてこいよ。フラれた方が諦めもつくだろ」
「なんで振られる前提なのよ!たっちゃんのバカ!」
「いいから・・・」
「絶対行かない!!」
通話はプツッと無情な音を立てて途切れた。
木村は子機から流れてくるツーツーという無機質な電子音を3回ほど聞いた後、小さなため息をついて電源を切った。
「ったく・・・本当に戻れなくなるぞ?いいのかよ」
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