46.震える
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9月末にまた宮田の試合があったけれど、奈々は当然、これも見にいくことはなく・・・。
試合の後に木村が家を訪ねて来て、
「新人王トーナメント2回戦突破。まぁ順調だよな」
「そうなんだ」
「次は準決勝なんだぜ。相手は間柴っつぅなかなかの曲者でよ。お前、準決勝くらい見に行ってやれよ」
「・・・行かない」
「ったく・・・まぁ気が向いたら連絡しろよ」
次の試合は11月末らしいぜ、と言い残し、木村はジャンプを数冊抱えて帰っていった。
静かになった部屋の中で、奈々はひとり呟く。
「皮肉なもんだよね・・・あんなに応援できなかったのに」
別れてからは嘘のように純粋に宮田を応援したいと思うことができるようになった。
付き合っている時は見たいとも思わなかったボクシング雑誌を別れてから読んでみて、宮田がどんな思いでボクシングに向き合っているのか、宮田にとってボクシングはどんな存在なのかを知ったからだ。
宮田にとってボクシングは、自らの全てをかけるもの・・・人生そのもの。
そこに突如現れたのは自分の方。
恋愛が生活の中心になるなんてあり得ない。
だから自分の判断は間違ってなかった・・・・
宮田にとっては自分がいない方が、よかったんだ・・・
一方で、こうも考える。
だけど自分の存在が宮田のボクシングに悪影響を与えたことはなかった、はず。
ただ自分が、ボクシングに嫉妬して寂しくなっていただけ。
これからもこんなピリピリした空気を吸いたくないと諦めただけ。
でもその空気は・・・・誰が出していたの?
ブンブンと頭を振って雑念をかき消す。
そしてチラリとカレンダーに目をやる。
“次の試合は11月末らしいぜ”
宮田は夢に向かって一歩一歩、前に向かって進んでいる。
その過程は本当に誇らしい。
素直に、頑張れ、頑張れ、と応援したい。
それなのに、チケットを買って試合を見にいくという一番肝心な応援は・・・・できない。行けるわけがない。
別れを切り出したのは自分なのだから、距離を取るのが最大のケジメ。
会場には行かないけど、心の中で頑張れ、頑張れと祈りつづける。
「私がいても、いなくても・・・・宮田は大丈夫だもんね」
自虐めいた独り言が、部屋の壁に吸い込まれて消えた。
ーーーーーー
試合の後に木村が家を訪ねて来て、
「新人王トーナメント2回戦突破。まぁ順調だよな」
「そうなんだ」
「次は準決勝なんだぜ。相手は間柴っつぅなかなかの曲者でよ。お前、準決勝くらい見に行ってやれよ」
「・・・行かない」
「ったく・・・まぁ気が向いたら連絡しろよ」
次の試合は11月末らしいぜ、と言い残し、木村はジャンプを数冊抱えて帰っていった。
静かになった部屋の中で、奈々はひとり呟く。
「皮肉なもんだよね・・・あんなに応援できなかったのに」
別れてからは嘘のように純粋に宮田を応援したいと思うことができるようになった。
付き合っている時は見たいとも思わなかったボクシング雑誌を別れてから読んでみて、宮田がどんな思いでボクシングに向き合っているのか、宮田にとってボクシングはどんな存在なのかを知ったからだ。
宮田にとってボクシングは、自らの全てをかけるもの・・・人生そのもの。
そこに突如現れたのは自分の方。
恋愛が生活の中心になるなんてあり得ない。
だから自分の判断は間違ってなかった・・・・
宮田にとっては自分がいない方が、よかったんだ・・・
一方で、こうも考える。
だけど自分の存在が宮田のボクシングに悪影響を与えたことはなかった、はず。
ただ自分が、ボクシングに嫉妬して寂しくなっていただけ。
これからもこんなピリピリした空気を吸いたくないと諦めただけ。
でもその空気は・・・・誰が出していたの?
ブンブンと頭を振って雑念をかき消す。
そしてチラリとカレンダーに目をやる。
“次の試合は11月末らしいぜ”
宮田は夢に向かって一歩一歩、前に向かって進んでいる。
その過程は本当に誇らしい。
素直に、頑張れ、頑張れ、と応援したい。
それなのに、チケットを買って試合を見にいくという一番肝心な応援は・・・・できない。行けるわけがない。
別れを切り出したのは自分なのだから、距離を取るのが最大のケジメ。
会場には行かないけど、心の中で頑張れ、頑張れと祈りつづける。
「私がいても、いなくても・・・・宮田は大丈夫だもんね」
自虐めいた独り言が、部屋の壁に吸い込まれて消えた。
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