父親と焼肉を食べた後、車で家まで送ってもらった。
時間は23時を過ぎていたので一刻も早く寝ようと思ったのに、なんだかふと去年の誕生日を思い出してしまった。


「・・・・そういや、CDどこにやったっけ・・」


去年奈々の家へ遊びに行った際に、誕生日プレゼントとして映画『トルネード』のサウンドトラックをもらった。その後、蓼丸に宿題を見せてもらっていたことで喧嘩になって、険悪なムードのまま帰宅したのを覚えている。

その後プロテストがあったりデビュー戦があったりと慌ただしい日々が続いたのもあり、今の今までCDをもらったことそのものを失念していたのだった。

CDを置いてある棚を見てみたが、それらしき物がない。宮田は音楽はそれなりに聞くが、特に収集癖があるわけでもないので、持っているCDなんてほとんど限られている。何度見ても見当たらず、さてどうしたものかと思ったその時、ようやく思い出した。


奈々の家に、置きっぱなしにしてしまったことを。


誕生日プレゼントをもらった当日に家に置き忘れるなんて最低最悪にも程があるのに、それを1年後の今日まで一度も指摘されたことがない。



「なんで何も言わねぇんだよ」



言うチャンスはいくらでもあっただろうに、何故こんな簡単なことも黙っているのかと、宮田は大きく息を吸ってうなだれた。




オレが・・・言わせなかったってコトか。




初めて二人で見に行った映画。
華麗なるオーケストラのファンファーレ。
同時に「わぁ」と小さな歓声をあげて、顔を見合わせた。


きっとあの時からオレの心の中にはずっとアイツがいたんだ。



そしてきっと・・・・・これからも。