44.あの時から
お名前設定はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
トモがここぞとばかりに呟く。
他の2人はゴロゴロと布団の上を寝返り、頭をトモの近くに寄せて、一字一句を聞き逃さないようにと集中しはじめた。
「な、何って・・・」
「別に見た目で好きになったわけじゃないんだよね?」
「ま、まぁそうだけど・・・」
「スティーブンつながり?」
「そ、それもあるけど・・・」
「アッチの方?キャハハ!」
「フーコ!大事な話してんのに茶々入れない!」
フーコがハルに嗜められてシュンと頭をもたげた。
その刹那に訪れた静寂と、次の言葉を待っている息遣い・・・。
これはもはや逃げられない問いだと奈々は悟り、ゴホンとわざとらしく咳払いをした。
「い、色々あったけど、振り返ってみれば・・・」
3人がゴクリと喉を鳴らしたのが聞こえた。奈々は続けて、
「まぁ・・・全部好きだったのかな」
「本当ぉ?最後の方は不満そうな顔してたじゃん」
「ちょっとフーコ!」
「確かにね」
奈々は笑って続けた。
「だけど別れてから、なんか憑き物が落ちたみたいに楽になってさ。ボクサーとしての宮田を尊敬してるし、ずっと応援したいとは思ってるんだ」
「・・・それって、復縁希望ってこと?」
奈々の言葉を受けてトモが低い声で確かめるように呟く。
一瞬どきりとして息を止めたが、ゆっくりと目を閉じて答える。
「・・・まさか」
「えー?なんでなんで?」
「なんでって言われても・・・」
そろそろ電気消そうよ、と奈々は立ち上がって電気の紐をひっぱり、豆電球にしてから布団に潜り込んだ。
そろそろ就寝かと思われた矢先、フーコがボソリとつぶやいた。
「奈々はまだ宮田くんが好き?」
寝たふりをしようと思ったけれど、できなかった。
なんとなく、吐き出したい気持ちもあったのかもしれない。
「・・・わかんない」
しんと静まった室内に秒針の音が響く。
フーコはため息をついながら「もう次は井口にしようよ」とつぶやいた。
トモもハルも結託して、「井口ならクレープ食べながら帰宅したり土日は映画デートしたり楽しく過ごせそうじゃない?」なんて囃し立てる。
確かに井口となら、夢見てた“普通のお付き合い”ができるような気はする・・・なんて、井口の気持ちも知らずに勝手な妄想をしてみる。
クレープ食べながら帰宅したり・・・
土日はデートしたり・・・
だけどそれが、私が本当に欲しかったものなんだろうか。
「井口かぁ」なんて言ってフッと笑って、そこから先は覚えていない。
カーテンの隙間から漏れる朝日に起こされて、ゴシゴシと目を擦る。ベッドじゃなくて布団といういつもと違う起床心地。まだスゥスゥと寝息を立てている3人を見て、奈々は自分の頭を軽く掻いた。
「もう心配させるようなこと、しちゃダメだよなぁ」
他の2人はゴロゴロと布団の上を寝返り、頭をトモの近くに寄せて、一字一句を聞き逃さないようにと集中しはじめた。
「な、何って・・・」
「別に見た目で好きになったわけじゃないんだよね?」
「ま、まぁそうだけど・・・」
「スティーブンつながり?」
「そ、それもあるけど・・・」
「アッチの方?キャハハ!」
「フーコ!大事な話してんのに茶々入れない!」
フーコがハルに嗜められてシュンと頭をもたげた。
その刹那に訪れた静寂と、次の言葉を待っている息遣い・・・。
これはもはや逃げられない問いだと奈々は悟り、ゴホンとわざとらしく咳払いをした。
「い、色々あったけど、振り返ってみれば・・・」
3人がゴクリと喉を鳴らしたのが聞こえた。奈々は続けて、
「まぁ・・・全部好きだったのかな」
「本当ぉ?最後の方は不満そうな顔してたじゃん」
「ちょっとフーコ!」
「確かにね」
奈々は笑って続けた。
「だけど別れてから、なんか憑き物が落ちたみたいに楽になってさ。ボクサーとしての宮田を尊敬してるし、ずっと応援したいとは思ってるんだ」
「・・・それって、復縁希望ってこと?」
奈々の言葉を受けてトモが低い声で確かめるように呟く。
一瞬どきりとして息を止めたが、ゆっくりと目を閉じて答える。
「・・・まさか」
「えー?なんでなんで?」
「なんでって言われても・・・」
そろそろ電気消そうよ、と奈々は立ち上がって電気の紐をひっぱり、豆電球にしてから布団に潜り込んだ。
そろそろ就寝かと思われた矢先、フーコがボソリとつぶやいた。
「奈々はまだ宮田くんが好き?」
寝たふりをしようと思ったけれど、できなかった。
なんとなく、吐き出したい気持ちもあったのかもしれない。
「・・・わかんない」
しんと静まった室内に秒針の音が響く。
フーコはため息をついながら「もう次は井口にしようよ」とつぶやいた。
トモもハルも結託して、「井口ならクレープ食べながら帰宅したり土日は映画デートしたり楽しく過ごせそうじゃない?」なんて囃し立てる。
確かに井口となら、夢見てた“普通のお付き合い”ができるような気はする・・・なんて、井口の気持ちも知らずに勝手な妄想をしてみる。
クレープ食べながら帰宅したり・・・
土日はデートしたり・・・
だけどそれが、私が本当に欲しかったものなんだろうか。
「井口かぁ」なんて言ってフッと笑って、そこから先は覚えていない。
カーテンの隙間から漏れる朝日に起こされて、ゴシゴシと目を擦る。ベッドじゃなくて布団といういつもと違う起床心地。まだスゥスゥと寝息を立てている3人を見て、奈々は自分の頭を軽く掻いた。
「もう心配させるようなこと、しちゃダメだよなぁ」