43.訪問者
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宮田は聞こえなかったふりをしてそのままダンマリを続ける。
蓼丸がさらに抱きしめる力を強めたせいで、宮田は背中にじんわりと柔らかな胸が押しつけられるのを感じた。気を抜くと下半身に血流が集中してしまう。
宮田は自分を落ち着かせるように息を吸い、静かに呟いた。
「無理」
「なんで?」
宮田は回された両腕を掴むと力を入れてゆっくりと引き剥がして、距離を取るようにその場を離れて、
「必要ない」
「でも、好きでいても辛いだけじゃん」
蓼丸が呆れたように言葉を絞り出すと、宮田はベッドの淵に置いてある蓼丸のショルダーバッグを拾い上げて答えた。
「とにかく、今は誰とも恋愛するつもりはない」
そして手にしたバッグを蓼丸の元へ突き返す。無言の“帰れ”の圧力に、蓼丸はなすすべなくただ差し出されたものを受け取るしかなかった。
「送るよ」
「・・・いいわよ、近所だし」
「いいから行くぞ」
玄関を出て見上げた空には、大きな大きな満月。
一緒の部屋にいたというのに、露出度の高い格好で体を密着させたのに、この紳士は狼に変身する気配もなかった。
月明かりに照らされた、肉厚の頼もしい背中。
今だけは、自分を守ってくれる盾。
安心感の中にぽっかりと、寂しさが残る。
“じゃあ、全部好きだったってこと?”
“そうだよ”
この頼もしい背中を持つ男が、“全部好きだった”という女。
嫉妬しないわけがない。
どう見たって自分の方が綺麗だし、宮田のこともよく理解している。
何がそんなに魅力的だったのか全然わからない。
「絶対振り向かせてやるんだから」
蓼丸は、後ろから小さく舌を出して悪態をついた。
蓼丸がさらに抱きしめる力を強めたせいで、宮田は背中にじんわりと柔らかな胸が押しつけられるのを感じた。気を抜くと下半身に血流が集中してしまう。
宮田は自分を落ち着かせるように息を吸い、静かに呟いた。
「無理」
「なんで?」
宮田は回された両腕を掴むと力を入れてゆっくりと引き剥がして、距離を取るようにその場を離れて、
「必要ない」
「でも、好きでいても辛いだけじゃん」
蓼丸が呆れたように言葉を絞り出すと、宮田はベッドの淵に置いてある蓼丸のショルダーバッグを拾い上げて答えた。
「とにかく、今は誰とも恋愛するつもりはない」
そして手にしたバッグを蓼丸の元へ突き返す。無言の“帰れ”の圧力に、蓼丸はなすすべなくただ差し出されたものを受け取るしかなかった。
「送るよ」
「・・・いいわよ、近所だし」
「いいから行くぞ」
玄関を出て見上げた空には、大きな大きな満月。
一緒の部屋にいたというのに、露出度の高い格好で体を密着させたのに、この紳士は狼に変身する気配もなかった。
月明かりに照らされた、肉厚の頼もしい背中。
今だけは、自分を守ってくれる盾。
安心感の中にぽっかりと、寂しさが残る。
“じゃあ、全部好きだったってこと?”
“そうだよ”
この頼もしい背中を持つ男が、“全部好きだった”という女。
嫉妬しないわけがない。
どう見たって自分の方が綺麗だし、宮田のこともよく理解している。
何がそんなに魅力的だったのか全然わからない。
「絶対振り向かせてやるんだから」
蓼丸は、後ろから小さく舌を出して悪態をついた。