43.訪問者
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とある夏休みの1日。
宮田がジムから帰宅すると、自宅アパートのドア前に誰かが座っているのが見えた。
時間はもう夜の9時近くになっている。
一瞬不審者かと思ったが、その正体はすぐにわかった。
「やっほー、宮田くん」
「・・・・なにしてんだよ、蓼丸」
蓼丸は立ち上がるとイテテと言いながら、すっかり硬くなった腰をさすった。
一体何時間待っていたのだろうか。
「あー、待ちくたびれた。部屋入れてくれない?」
「入れるわけないだろ。帰れよ」
宮田が無視して玄関の鍵を開けると、蓼丸はドアに足を踏み入れて中に入ろうとしてきた。
「いい加減にしねぇと警察呼ぶぞ」
「どうぞ。卒業しなくてもいいならね?」
「どういう意味だ」
「こないだのレポート、私が書いたのバラしちゃおうかな?もう留年確定だね〜」
6月の試合直後に定期試験があったのだが、準備が間に合わなかった科目で宮田はいくつか追試を食らってしまった。その後ノートを見せてもらっただけでなく、追試の試験対策も蓼丸がサポートし、挙げ句の果てにレポートの代筆までしてもらっていたのだ。
宮田は時々、自分へ好意を持っている者が自分に施してくれることを“当たり前”のように受けてしまうことがある。宮田は親切はタダじゃないことを、このとき身をもって知った。
「お茶でも飲んだら帰るから入れてよ。じゃないと先生にチクっちゃお」
「・・・飲んだら帰ると約束しろよ。本当に警察を呼ぶぞ」
「はいはい。大丈夫だって」
これほど嘘くさい笑顔は見たことがないと思いながら、宮田はいざとなれば自分が家から逃げればいいと考えて、蓼丸を自宅へ招き入れた。
とある夏休みの1日。
宮田がジムから帰宅すると、自宅アパートのドア前に誰かが座っているのが見えた。
時間はもう夜の9時近くになっている。
一瞬不審者かと思ったが、その正体はすぐにわかった。
「やっほー、宮田くん」
「・・・・なにしてんだよ、蓼丸」
蓼丸は立ち上がるとイテテと言いながら、すっかり硬くなった腰をさすった。
一体何時間待っていたのだろうか。
「あー、待ちくたびれた。部屋入れてくれない?」
「入れるわけないだろ。帰れよ」
宮田が無視して玄関の鍵を開けると、蓼丸はドアに足を踏み入れて中に入ろうとしてきた。
「いい加減にしねぇと警察呼ぶぞ」
「どうぞ。卒業しなくてもいいならね?」
「どういう意味だ」
「こないだのレポート、私が書いたのバラしちゃおうかな?もう留年確定だね〜」
6月の試合直後に定期試験があったのだが、準備が間に合わなかった科目で宮田はいくつか追試を食らってしまった。その後ノートを見せてもらっただけでなく、追試の試験対策も蓼丸がサポートし、挙げ句の果てにレポートの代筆までしてもらっていたのだ。
宮田は時々、自分へ好意を持っている者が自分に施してくれることを“当たり前”のように受けてしまうことがある。宮田は親切はタダじゃないことを、このとき身をもって知った。
「お茶でも飲んだら帰るから入れてよ。じゃないと先生にチクっちゃお」
「・・・飲んだら帰ると約束しろよ。本当に警察を呼ぶぞ」
「はいはい。大丈夫だって」
これほど嘘くさい笑顔は見たことがないと思いながら、宮田はいざとなれば自分が家から逃げればいいと考えて、蓼丸を自宅へ招き入れた。