41.心から
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3年生になって、クラス替えはなくそのまま持ち上がり。
代わり映えのしないメンツではあるものの、就職組も、進学組も、それぞれの進路を目指して何となくザワザワとし始め変な緊張感がある。
今までは始業時間ギリギリに来ていた奈々であったが、受験生ということもあって朝の時間を有効に使おうと、4月からは少し早めに学校に来ることにした。
と言っても、朝が弱いのでせいぜい10分から20分程度早く着くだけで精一杯なのだが。
ある朝、玄関で靴を履き替え、階段を登ろうとするところで、向こうから歩いてきた人物と思わずぶつかりそうになった。
「あっ・・・ご、ごめん」
低血圧でぼうっとしていたせいかと自分を小さく責めながら、ぶつかりそうになった相手を見ると、何とも奇遇なことにそれは世間でいう“元彼氏”の宮田であった。
「お・・・・おはよ」
「・・・気をつけろよ」
「うん」
宮田はひどく他人行儀な態度で一言だけ言うと、さっさと階段を登っていってしまった。
別れてから言葉を交わしたのはこれが初めてだったような気がしたが、久々の接触は完全な他人でも仲のいい友達でもない、簡素な距離感だった。
・・・・こんなものか。
宮田のそっけない態度に、少し痛む胸はある。
けど、思ったほどの痛みじゃない。
自分から切り出した別れなのも大きい。
被害者ぶりたくない気持ちもあるのかもしれない。
それに、宮田のこの態度は何となく予想していた。
もう友達にも、戻れないのかな。
まるで全然知らない他人みたいになってしまうのかな。
チクチクと胸を刺す針をグッと飲み込んで流してしまおう。
恋愛はこうやって、終わっていくんだ。
ーーーーー
ぼうっと前を歩いているヤツが誰だかなんて、脳は自我を飛び越えてとっくに気がついていたさ。
華麗に避けて何食わぬ顔もできたはずなのに、何をわざわざぶつかりに行ったんだ。
何を期待して。
アイツの態度は以前と変わらない。
ただ、関係性が違うというだけで、それ以上の接点はない。
一瞬の交わりに何があるってんだ。
振り返るなんて情けない真似できるかよ。
肩から焦げていくような後悔が身を包んでも、それが何になる?
どうしてオレはあの時、手を繋がなかった?
なぜあの時、追いかけて説得しなかった?
それをしたら何か変わっていたか?
“カッコつけてんじゃねぇぞ!”
木村に食らった強烈な一言が頭をよぎる。
格好つけたつもりなんてない。
むしろこの上なく格好悪いのは自覚している。
いつまでも・・・・
コレが、アイツの出した答えだと言うなら・・・・
オレはどんな答えを、導けるだろう?
3年生になって、クラス替えはなくそのまま持ち上がり。
代わり映えのしないメンツではあるものの、就職組も、進学組も、それぞれの進路を目指して何となくザワザワとし始め変な緊張感がある。
今までは始業時間ギリギリに来ていた奈々であったが、受験生ということもあって朝の時間を有効に使おうと、4月からは少し早めに学校に来ることにした。
と言っても、朝が弱いのでせいぜい10分から20分程度早く着くだけで精一杯なのだが。
ある朝、玄関で靴を履き替え、階段を登ろうとするところで、向こうから歩いてきた人物と思わずぶつかりそうになった。
「あっ・・・ご、ごめん」
低血圧でぼうっとしていたせいかと自分を小さく責めながら、ぶつかりそうになった相手を見ると、何とも奇遇なことにそれは世間でいう“元彼氏”の宮田であった。
「お・・・・おはよ」
「・・・気をつけろよ」
「うん」
宮田はひどく他人行儀な態度で一言だけ言うと、さっさと階段を登っていってしまった。
別れてから言葉を交わしたのはこれが初めてだったような気がしたが、久々の接触は完全な他人でも仲のいい友達でもない、簡素な距離感だった。
・・・・こんなものか。
宮田のそっけない態度に、少し痛む胸はある。
けど、思ったほどの痛みじゃない。
自分から切り出した別れなのも大きい。
被害者ぶりたくない気持ちもあるのかもしれない。
それに、宮田のこの態度は何となく予想していた。
もう友達にも、戻れないのかな。
まるで全然知らない他人みたいになってしまうのかな。
チクチクと胸を刺す針をグッと飲み込んで流してしまおう。
恋愛はこうやって、終わっていくんだ。
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ぼうっと前を歩いているヤツが誰だかなんて、脳は自我を飛び越えてとっくに気がついていたさ。
華麗に避けて何食わぬ顔もできたはずなのに、何をわざわざぶつかりに行ったんだ。
何を期待して。
アイツの態度は以前と変わらない。
ただ、関係性が違うというだけで、それ以上の接点はない。
一瞬の交わりに何があるってんだ。
振り返るなんて情けない真似できるかよ。
肩から焦げていくような後悔が身を包んでも、それが何になる?
どうしてオレはあの時、手を繋がなかった?
なぜあの時、追いかけて説得しなかった?
それをしたら何か変わっていたか?
“カッコつけてんじゃねぇぞ!”
木村に食らった強烈な一言が頭をよぎる。
格好つけたつもりなんてない。
むしろこの上なく格好悪いのは自覚している。
いつまでも・・・・
コレが、アイツの出した答えだと言うなら・・・・
オレはどんな答えを、導けるだろう?