40.心配
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「高杉のことですか」
宮田がボソリと呟くと、まさか本人からその言葉が出るとは思ってなかった木村は一瞬目を見開いて、それからすぐに「そうだ」と答えた。
「特に話すことはありませんけど」
「・・・そりゃ、お前はフラれた側だからな」
“フラれた側”というストレートな言葉を前に、負けん気の強い宮田の目の奥が光る。
「じゃあ何しに来たんです」
「お前、納得してねぇだろ?何を素直に引き下がってんだよ。理解したフリか?カッコつけてんじゃねぇぞ!」
木村は感情に任せて、思うがままに言葉を宮田にぶつけた。自分でも驚くほどに、二人の出した答えには、何より自分が一番納得いっていないのだということを知った。
感情が昂り、顔がやや紅潮気味の木村に対して、宮田は冷静な態度を崩さずにつぶやいた。
「オレが納得してもしなくても・・・それがアイツの出した答えだろ」
「スカしてんじゃねぇ!アイツを寂しくさせたのは、お前のそういう他人事みたいな姿勢のせいだろうがよ!」
木村は思わず宮田の胸ぐらを掴んで、声を張り上げた。
宮田も負けじと木村を睨み返して、お互いに一歩も引かない姿勢だ。
「だから、何しに来たんですか」
「何しにって・・・そりゃ・・・」
「元に戻れとでも説得しに来たのなら、相手が違うぜ」
「違ぇよ!オレはただ・・・お前が・・・」
木村はそう言うなり、胸ぐらを掴んでいた手を緩めて、それからガシガシと頭を掻いてからそっぽを剥き、小さな声でつぶやいた。
「お前が心配だったんだよ」
木村の思わぬ一言に宮田は一瞬面食らったが、それを悟られぬよう視線を斜め下にそらして、小さなため息をついた。
「バカじゃねぇの」
「う、うるせぇな!モテ男のお前がフラれるなんて初めてだろ?さすがにダメージでけぇと思って、ほら、お前もクールに見えて実は結構・・・」
「木村さん」
木村が照れ隠しにあれこれ取り繕う中、宮田は落ち着いた声でそれを遮る様に、
「試合が近いんで。ジムに戻ります」
「お、おお・・じゃ、じゃあな・・・」
遠ざかっていく宮田の背中を眺めながら、木村は自分の衝動的な行動を反省した。
あれこれ騒ぎ立てておいて、自分の本心はただ「心配だった」なんて、随分小学生みたいな行動理由。
“それがアイツの出した答えだろ”
宮田の一言は何だか、とても他人事の様に冷たいものだった。
「じゃあ、お前の出した答えは・・・なんなんだよ」
宮田の背影はすでになく、木村の一言は風の中に消えていった。
宮田がボソリと呟くと、まさか本人からその言葉が出るとは思ってなかった木村は一瞬目を見開いて、それからすぐに「そうだ」と答えた。
「特に話すことはありませんけど」
「・・・そりゃ、お前はフラれた側だからな」
“フラれた側”というストレートな言葉を前に、負けん気の強い宮田の目の奥が光る。
「じゃあ何しに来たんです」
「お前、納得してねぇだろ?何を素直に引き下がってんだよ。理解したフリか?カッコつけてんじゃねぇぞ!」
木村は感情に任せて、思うがままに言葉を宮田にぶつけた。自分でも驚くほどに、二人の出した答えには、何より自分が一番納得いっていないのだということを知った。
感情が昂り、顔がやや紅潮気味の木村に対して、宮田は冷静な態度を崩さずにつぶやいた。
「オレが納得してもしなくても・・・それがアイツの出した答えだろ」
「スカしてんじゃねぇ!アイツを寂しくさせたのは、お前のそういう他人事みたいな姿勢のせいだろうがよ!」
木村は思わず宮田の胸ぐらを掴んで、声を張り上げた。
宮田も負けじと木村を睨み返して、お互いに一歩も引かない姿勢だ。
「だから、何しに来たんですか」
「何しにって・・・そりゃ・・・」
「元に戻れとでも説得しに来たのなら、相手が違うぜ」
「違ぇよ!オレはただ・・・お前が・・・」
木村はそう言うなり、胸ぐらを掴んでいた手を緩めて、それからガシガシと頭を掻いてからそっぽを剥き、小さな声でつぶやいた。
「お前が心配だったんだよ」
木村の思わぬ一言に宮田は一瞬面食らったが、それを悟られぬよう視線を斜め下にそらして、小さなため息をついた。
「バカじゃねぇの」
「う、うるせぇな!モテ男のお前がフラれるなんて初めてだろ?さすがにダメージでけぇと思って、ほら、お前もクールに見えて実は結構・・・」
「木村さん」
木村が照れ隠しにあれこれ取り繕う中、宮田は落ち着いた声でそれを遮る様に、
「試合が近いんで。ジムに戻ります」
「お、おお・・じゃ、じゃあな・・・」
遠ざかっていく宮田の背中を眺めながら、木村は自分の衝動的な行動を反省した。
あれこれ騒ぎ立てておいて、自分の本心はただ「心配だった」なんて、随分小学生みたいな行動理由。
“それがアイツの出した答えだろ”
宮田の一言は何だか、とても他人事の様に冷たいものだった。
「じゃあ、お前の出した答えは・・・なんなんだよ」
宮田の背影はすでになく、木村の一言は風の中に消えていった。