39.たっちゃんのせい
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「宮田がお前といる時・・・特にお前と話してる時な。すげぇ・・・楽しそうなんだよ」
ボクシングの試合以外でしばらく“楽しそうな宮田”を見ていない奈々は、それがどんな姿だったのか全く思い出せないでいる。
木村はまた調子のいいことを言って自分達を元の鞘に収める気だ、と少し警戒心を強めたのも束の間、木村は続けて、
「オレはアイツをガキの頃から見てるけど、本当に人に心を開かないヤツでよ。だからお前と付き合い始めてアイツ・・・変わったなって思ってたよ。それか、ひょっとしたらそれがアイツの本当の姿なのかな、ってな」
奈々はその言葉にハッと目を見開いたが、何も答えられなかった。
「だからオレはお前らのこと、いいコンビだなって思ってた訳だけど・・・まぁ、コンビ解散ってことは、縁がなかったんだな」
木村は「じゃあ、帰るわ」と少し冷めた口調で別れを告げ、静かにドアを閉めた。
秒針の音が聞こえたり聞こえなかったりする。
完全に、気持ちが切れたと思っていたのに。
「また、たっちゃんのせいだよ」
両手で顔を覆い隠しても、見たくないものは闇の中からでも顔を出す。