39.たっちゃんのせい
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「お前、3月の試合は行くんだろ?」
「え?3月?たっちゃんの?」
「宮田のだよ。お前知らないのかよ?」
久々にジャンプを借りに来た木村が何の気なしに呟いた。
これまで宮田とのことについて特に聞かれることがなかったのでこちらから言うこともなかったが、付き合い続けていると嘘をつくことも忍びない。
変なタイミングになったなと思いながら、観念したように、
「その・・・・お別れしましたので・・・」
「へぇ・・・って、な、何!?わ、別れたぁ!?」
「しーっ!声が大きいって!」
「お、お前!なんだよそれ!聞いてねぇぞ!いつからだよ!?」
「年明けくらいかなぁ・・・」
「は、はぁーーー!?」
予想通りの大きなリアクション。
木村は妙に淡々とした奈々の態度と、目の前に突きつけられた事実との落差に激しく動揺しながら、
「なんでだよ!?アイツ浮気でもしたか?それとも放置されすぎて嫌になったのか!?」
「い、いや・・・」
「確かに放置っぷりはすごかったけど、話し合いの余地あるだろうヨォ!寂しかったんならオレからも伝えてやっから!」
「ちょ、ちょっとたっちゃん落ち着いて・・」
「それともあれか?アイツからボクシングに専念したいとでも言われたか!?あの野郎オレの妹に手ェ出しときながら中途半端なこと・・・」
「いや、私の方から・・・」
「ますますなんでだよぉおおお!!」
木村は頭を抱えてのたうちまわったまま、そのうち動かなくなってしまった。
奈々は自分の決断がいろいろな人の心を傷つけているんだと知り、心にメリメリと亀裂が入っていくような心地がした。
「宮田のことは今だに・・・・特別だよ」
「じゃあ、どうして・・・」
「宮田に前に言われた。私は宮田にたっちゃんを重ねてるって」
「・・・・!」
「私はたっちゃんに恋してたときの理想や妄想を・・・宮田に負わせてしまってた」
木村は姿勢を正して、ぐっと前のめりになって話を聞く姿勢を整え、宮田もかつて同じようなことをこぼしたことがあったのを思い出した。
その時の宮田の、珍しく辛そうな顔は忘れられない。
「宮田はできる範囲でそれに応えようとしてくれた・・・そしてできないこともちゃんと言ってくれた。なのに私は・・・それでも自分の欲望を抑えられなくて、宮田のことも全然支えてあげられないし・・・」
宮田と別れた後や、親友たちに話をした時。
不思議と涙は流れてこなくて妙に清々しい気持ちになっていたのに。
木村と話している間に、自分でもわからないほどの心の奥の奥の底で堰き止めていた様々な気持ちが、溢れ出てきてしまったらしい。
「大好きだし離れたくなかったけど・・・私と宮田はあまりにも違って・・・」
「お、オレとしては良いコンビだと思ってたけどな?宮田はお前にかなり気を許していたし」
「・・・・そうなのかな・・」
「考え直せよ、頼むよ。オレはなんだかんだ言いながら、お前らのこと応援してたんだぜ・・・」
木村が奈々の両肩を掴んで懇願したが、奈々は首を横に振って、
「宮田にはね・・・もっと宮田のボクシングを応援してくれる人がいいと思うんだ・・・そして私は・・」
「・・・なんだよ?」
「クレープ食べたり、手を繋いで歩いたり、そんな普通の恋愛がしたい・・かな」
ぐずぐずと鼻を啜る音がこだまする中で、木村は奈々の固い決意を感じ、これはもう翻らない決定事項なのだと受け入れるしかなかった。
一方で、話を聞く限り一方的に別れを切り出された格好の宮田が気になった。
「え?3月?たっちゃんの?」
「宮田のだよ。お前知らないのかよ?」
久々にジャンプを借りに来た木村が何の気なしに呟いた。
これまで宮田とのことについて特に聞かれることがなかったのでこちらから言うこともなかったが、付き合い続けていると嘘をつくことも忍びない。
変なタイミングになったなと思いながら、観念したように、
「その・・・・お別れしましたので・・・」
「へぇ・・・って、な、何!?わ、別れたぁ!?」
「しーっ!声が大きいって!」
「お、お前!なんだよそれ!聞いてねぇぞ!いつからだよ!?」
「年明けくらいかなぁ・・・」
「は、はぁーーー!?」
予想通りの大きなリアクション。
木村は妙に淡々とした奈々の態度と、目の前に突きつけられた事実との落差に激しく動揺しながら、
「なんでだよ!?アイツ浮気でもしたか?それとも放置されすぎて嫌になったのか!?」
「い、いや・・・」
「確かに放置っぷりはすごかったけど、話し合いの余地あるだろうヨォ!寂しかったんならオレからも伝えてやっから!」
「ちょ、ちょっとたっちゃん落ち着いて・・」
「それともあれか?アイツからボクシングに専念したいとでも言われたか!?あの野郎オレの妹に手ェ出しときながら中途半端なこと・・・」
「いや、私の方から・・・」
「ますますなんでだよぉおおお!!」
木村は頭を抱えてのたうちまわったまま、そのうち動かなくなってしまった。
奈々は自分の決断がいろいろな人の心を傷つけているんだと知り、心にメリメリと亀裂が入っていくような心地がした。
「宮田のことは今だに・・・・特別だよ」
「じゃあ、どうして・・・」
「宮田に前に言われた。私は宮田にたっちゃんを重ねてるって」
「・・・・!」
「私はたっちゃんに恋してたときの理想や妄想を・・・宮田に負わせてしまってた」
木村は姿勢を正して、ぐっと前のめりになって話を聞く姿勢を整え、宮田もかつて同じようなことをこぼしたことがあったのを思い出した。
その時の宮田の、珍しく辛そうな顔は忘れられない。
「宮田はできる範囲でそれに応えようとしてくれた・・・そしてできないこともちゃんと言ってくれた。なのに私は・・・それでも自分の欲望を抑えられなくて、宮田のことも全然支えてあげられないし・・・」
宮田と別れた後や、親友たちに話をした時。
不思議と涙は流れてこなくて妙に清々しい気持ちになっていたのに。
木村と話している間に、自分でもわからないほどの心の奥の奥の底で堰き止めていた様々な気持ちが、溢れ出てきてしまったらしい。
「大好きだし離れたくなかったけど・・・私と宮田はあまりにも違って・・・」
「お、オレとしては良いコンビだと思ってたけどな?宮田はお前にかなり気を許していたし」
「・・・・そうなのかな・・」
「考え直せよ、頼むよ。オレはなんだかんだ言いながら、お前らのこと応援してたんだぜ・・・」
木村が奈々の両肩を掴んで懇願したが、奈々は首を横に振って、
「宮田にはね・・・もっと宮田のボクシングを応援してくれる人がいいと思うんだ・・・そして私は・・」
「・・・なんだよ?」
「クレープ食べたり、手を繋いで歩いたり、そんな普通の恋愛がしたい・・かな」
ぐずぐずと鼻を啜る音がこだまする中で、木村は奈々の固い決意を感じ、これはもう翻らない決定事項なのだと受け入れるしかなかった。
一方で、話を聞く限り一方的に別れを切り出された格好の宮田が気になった。