36.ごめん
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ボクシングジムも正月3が日は閉まっている。
川原ジムの初練習は4日から。
宮田は会長やマネージャーとともに、4日の早朝から神社に初詣に来ていた。
「三ヶ日を過ぎると人出もグッと減って参拝しやすいですなぁ」
木田マネージャーが社務所の前で呟く。
川原ジムの事務室には神棚が祀ってあり、毎年選手や練習生のために安全祈願を行っている。今日は初詣を兼ねて新しいお札や破魔矢を拝受しに来たのだった。
「父さん、交通安全」
宮田は社務所前に並んでいるお守りの中から一つを選んで父親に手渡した。
仕事でもよく車を運転する父親は毎年必ず交通安全のお守りを買っている。
「ああ、買い忘れないようにしないとな」
父親はお守りを受け取った後、例年お守りなど全く興味がなさそうにしている息子がずっと何かを探しているようなので不思議に思い、
「どうした?何か欲しいものがあるのか?」
「ああ・・・・」
「買ってやろうか?」
「いいよ、自分で買うから」
「いや、お守りくらい・・」
そういって財布を出そうとした父親を静止するように宮田は父親の胸に拳をトンと当てて、
「買うのは自分のじゃねぇから」
とクールに言い放った。
その一言で父親は、そのお守りを誰にあげるのかすぐに想像が着いたらしい。
コホンと小さな咳払いをして、「わかった」とだけ呟いた。
宮田はピンクのちりめんに鈴がついた、女性向けの守りを選んで巫女に渡した。
支払いを済ませ、白い袋に包まれたお守りを受け取ると、宮田はコートのポケットに無造作に仕舞い込んだ。
「じゃあ今日は一度これで解散。ジムは14時から初練習だから、各自また後ほど」
川原会長と木田は、木田の運転する車へ。宮田と宮田父は、宮田父の車へそれぞれ乗り込み、他のトレーナーや選手、練習生もそれぞれ帰路についた。
「一郎、お前時間までどうするんだ?一度家に帰るだろ?」
宮田父が運転しながら聞くと、宮田は少し間を置いてから、
「・・・アイツんちまで寄れる?」
「ん?高杉さんちか?」
「ああ・・・渡すモンあるからさ。父さんそのまま先に帰ってていいから」
「まぁ、多少遠回りだがいいだろう。私は今日まで休みだしな」
「悪いね」
宮田は窓の外を眺めながら、ポケットの中の白い包紙をそっと握りしめた。
ボクシングジムも正月3が日は閉まっている。
川原ジムの初練習は4日から。
宮田は会長やマネージャーとともに、4日の早朝から神社に初詣に来ていた。
「三ヶ日を過ぎると人出もグッと減って参拝しやすいですなぁ」
木田マネージャーが社務所の前で呟く。
川原ジムの事務室には神棚が祀ってあり、毎年選手や練習生のために安全祈願を行っている。今日は初詣を兼ねて新しいお札や破魔矢を拝受しに来たのだった。
「父さん、交通安全」
宮田は社務所前に並んでいるお守りの中から一つを選んで父親に手渡した。
仕事でもよく車を運転する父親は毎年必ず交通安全のお守りを買っている。
「ああ、買い忘れないようにしないとな」
父親はお守りを受け取った後、例年お守りなど全く興味がなさそうにしている息子がずっと何かを探しているようなので不思議に思い、
「どうした?何か欲しいものがあるのか?」
「ああ・・・・」
「買ってやろうか?」
「いいよ、自分で買うから」
「いや、お守りくらい・・」
そういって財布を出そうとした父親を静止するように宮田は父親の胸に拳をトンと当てて、
「買うのは自分のじゃねぇから」
とクールに言い放った。
その一言で父親は、そのお守りを誰にあげるのかすぐに想像が着いたらしい。
コホンと小さな咳払いをして、「わかった」とだけ呟いた。
宮田はピンクのちりめんに鈴がついた、女性向けの守りを選んで巫女に渡した。
支払いを済ませ、白い袋に包まれたお守りを受け取ると、宮田はコートのポケットに無造作に仕舞い込んだ。
「じゃあ今日は一度これで解散。ジムは14時から初練習だから、各自また後ほど」
川原会長と木田は、木田の運転する車へ。宮田と宮田父は、宮田父の車へそれぞれ乗り込み、他のトレーナーや選手、練習生もそれぞれ帰路についた。
「一郎、お前時間までどうするんだ?一度家に帰るだろ?」
宮田父が運転しながら聞くと、宮田は少し間を置いてから、
「・・・アイツんちまで寄れる?」
「ん?高杉さんちか?」
「ああ・・・渡すモンあるからさ。父さんそのまま先に帰ってていいから」
「まぁ、多少遠回りだがいいだろう。私は今日まで休みだしな」
「悪いね」
宮田は窓の外を眺めながら、ポケットの中の白い包紙をそっと握りしめた。