35.赤い札
お名前設定はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「好きなだけじゃ、ダメだったんだ」
始めて音にして口から出してみた言葉。
すうっと天井に溶けていって、何事もなかったみたいに消えていった。
しばらくぼうっと天井を眺めていたら、目尻から流れてきた涙がこめかみを濡らして行って、やはりその言葉が外の世界に飛び出していたことに、改めて気づかされた。
きっと宮田も同じ答えに突き当たって、ずっとずっと見ないフリをしていただろう。
もう見ないフリをしなくてもいいと伝えなきゃいけない。
二人が答えを出せば。
いずれ誰か違う人が、それぞれの手を引くことになる。
その時もう、「それは私のものです」とは言えなくなる。
耐えられる?
理想と引き換えに手にする現実は、予想以上に過酷なものかもしれない。
そう思うと、全てを捨ててでも縋りたくなる。
そうしたらまた、無意味な不安や不満の中で暮らすことになる。
素直に「どうぞ」とは言えなくてもせめて、「おめでとう」と言えるようになりたい。
言えるようになるかな?
今はまだ何も考えられない、だけど。
これでいい、間違ってない。
だって今までで一番落ち着いている。
腑に落ちている。
ごめん、宮田。
私たち・・・・・
あれこれ考えているうちにいつの間にか本当に寝てしまっていたらしい。
両親は起こしに来てくれなかったのか、時計を見たら夜の9時を過ぎている。
夕飯の時間はとっくに過ぎていたが、食べ物を探しに1階へ降りて行くと、リビングで両親がみかんを食べながらバラエティ番組を見て爆笑していた。
これが私の日常なんだと、夢から冷めたような気がした。
始めて音にして口から出してみた言葉。
すうっと天井に溶けていって、何事もなかったみたいに消えていった。
しばらくぼうっと天井を眺めていたら、目尻から流れてきた涙がこめかみを濡らして行って、やはりその言葉が外の世界に飛び出していたことに、改めて気づかされた。
きっと宮田も同じ答えに突き当たって、ずっとずっと見ないフリをしていただろう。
もう見ないフリをしなくてもいいと伝えなきゃいけない。
二人が答えを出せば。
いずれ誰か違う人が、それぞれの手を引くことになる。
その時もう、「それは私のものです」とは言えなくなる。
耐えられる?
理想と引き換えに手にする現実は、予想以上に過酷なものかもしれない。
そう思うと、全てを捨ててでも縋りたくなる。
そうしたらまた、無意味な不安や不満の中で暮らすことになる。
素直に「どうぞ」とは言えなくてもせめて、「おめでとう」と言えるようになりたい。
言えるようになるかな?
今はまだ何も考えられない、だけど。
これでいい、間違ってない。
だって今までで一番落ち着いている。
腑に落ちている。
ごめん、宮田。
私たち・・・・・
あれこれ考えているうちにいつの間にか本当に寝てしまっていたらしい。
両親は起こしに来てくれなかったのか、時計を見たら夜の9時を過ぎている。
夕飯の時間はとっくに過ぎていたが、食べ物を探しに1階へ降りて行くと、リビングで両親がみかんを食べながらバラエティ番組を見て爆笑していた。
これが私の日常なんだと、夢から冷めたような気がした。