35.赤い札
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木村たちが帰ってから、奈々は「疲れたから少し横になる」と両親に伝えて自室へ引き籠った。
騒がしいテレビの音も、空を飛び交う世間話も何も聞こえない静かな部屋で、ベッドに体を預けてただぼうっと天井を見る。
何気ない一言や少しの動作にとどめを刺されることもあるものだ、とヒシヒシ思う。
そして、急に目の前に現れた見ないフリをしていた答えを認めるか、認めざるかの二択を迫られている。
“オレにアイツを重ねるな”
“お前はオレで良かったのか?”
かつて宮田に言われた言葉が、今になってすっと胸の中に落ちてきた。
「そういうこと・・・か・・・」
小さな頃からずっと木村に恋をしていた自分。
だから思い描いていた“理想の恋愛”は全部、木村をベースにして描かれたものだった。
木村に失恋して、そこにうっかり思い描いていた恋愛とは違う男の人が現れて、そしてその人に恋をした。
一緒に寄り道してクレープを食べて帰ったり、毎日電話をしたり。
そんな普通の恋愛が羨ましいと思ったのも、かつてそんなことを、木村で妄想したことがあったからに違いない。
“理想の恋愛”は上書きされることがないまま、宮田の肩にずっしりと重りのように乗っかってしまっていた。
寡黙で多くを語らず、孤独でストイックな生活を続けてきた宮田と、合うはずがない。
不満や寂しさの根本は、この不一致にあったんだ。
これからも宮田のそばにいる限り、変な緊張感の付きまとう日々を送るだろう。相手の心の中には、自分が入る余地なんてまるでない。
自分の存在価値を見失って、小さな隙間でもいいから探し出して入り込もうと媚びを売る恋愛を、これからも続けたい?
そんな疑念が頭をぐるぐる回って、終わりのゴングが鳴り響いた。
私みたいな普通な人は、たっちゃんみたいな普通の人がいいんじゃない?
もう、宮田を変えようとか、自分を変えようとか、そんなことしなくていい。
私はもっと分かりやすく愛してくれる人を愛せばいい。
宮田は私よりもっと宮田を支えて励ましてくれる人と一緒になれば・・・・いい。
もうこれ以上前には進めない。
・・・・ゲーム・オーバーだ。
騒がしいテレビの音も、空を飛び交う世間話も何も聞こえない静かな部屋で、ベッドに体を預けてただぼうっと天井を見る。
何気ない一言や少しの動作にとどめを刺されることもあるものだ、とヒシヒシ思う。
そして、急に目の前に現れた見ないフリをしていた答えを認めるか、認めざるかの二択を迫られている。
“オレにアイツを重ねるな”
“お前はオレで良かったのか?”
かつて宮田に言われた言葉が、今になってすっと胸の中に落ちてきた。
「そういうこと・・・か・・・」
小さな頃からずっと木村に恋をしていた自分。
だから思い描いていた“理想の恋愛”は全部、木村をベースにして描かれたものだった。
木村に失恋して、そこにうっかり思い描いていた恋愛とは違う男の人が現れて、そしてその人に恋をした。
一緒に寄り道してクレープを食べて帰ったり、毎日電話をしたり。
そんな普通の恋愛が羨ましいと思ったのも、かつてそんなことを、木村で妄想したことがあったからに違いない。
“理想の恋愛”は上書きされることがないまま、宮田の肩にずっしりと重りのように乗っかってしまっていた。
寡黙で多くを語らず、孤独でストイックな生活を続けてきた宮田と、合うはずがない。
不満や寂しさの根本は、この不一致にあったんだ。
これからも宮田のそばにいる限り、変な緊張感の付きまとう日々を送るだろう。相手の心の中には、自分が入る余地なんてまるでない。
自分の存在価値を見失って、小さな隙間でもいいから探し出して入り込もうと媚びを売る恋愛を、これからも続けたい?
そんな疑念が頭をぐるぐる回って、終わりのゴングが鳴り響いた。
私みたいな普通な人は、たっちゃんみたいな普通の人がいいんじゃない?
もう、宮田を変えようとか、自分を変えようとか、そんなことしなくていい。
私はもっと分かりやすく愛してくれる人を愛せばいい。
宮田は私よりもっと宮田を支えて励ましてくれる人と一緒になれば・・・・いい。
もうこれ以上前には進めない。
・・・・ゲーム・オーバーだ。