32.雪の華
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「高杉」
「ん?」
「クリスマス・・・だよな、今日」
「うん、そうだけど」
何を言い出したのかと、奈々は要領を得ないままただポカンと相手の次の言葉を待っている。しかし宮田はいつまで経っても、その次の言葉を返してこない。
一体何が・・・と思い返し、急にふと、ある可能性に気づいて声をあげた。
「ちょ、ちょっと!ま、まさか」
「なんだよ」
「まさかそれで・・・クリスマスだからって・・・わざわざ電話くれたの?」
宮田からの返事はない。
「えっ・・いや、だって・・・」
「もういい。とにかく・・・」
宮田は半分呆れたような声で奈々の話を遮ったが、
「声が聞けてよかった。じゃあな」
一方的にそう言うと、電話を切ってしまった。
誰よりも宮田と過ごすクリスマスを楽しみにしていたくせに。
クリスマスに電話をくれたことに全く気がつかなかった。
もう『クリスマスや大切な行事には宮田はいません』という認識が染み付いてしまっていて、不意打ちのように来ると全く対処ができなくなる。
「ロマンのかけらもないやつ・・なんて思ってたりして」
机に伏せるようにしておでこをくっつけ、暫し猛省する。
“声が聞けてよかった”だなんて宮田にしては最上級の甘いセリフだ。
どんな顔して言ったんだろう、と電話の向こうを想像するだけで、得体の知れない愛おしさが湧き出てくる。
会えなくても、心が通じ合っていれば・・・
会えなくても、相手のことを愛しいと思う気持ちに変わりがなければ・・・
会えたときの時間を、何よりも大切にできれば・・・
まだこの道を、歩いていても、いいかなあ。
ふと窓の外を見上げると、ひらひらと小さな雪が舞っていた。
雪は空からたくさん降ってくるのに、地面には一つも残らない。
ずっとずっと、空を見ていたいと思った。
「ん?」
「クリスマス・・・だよな、今日」
「うん、そうだけど」
何を言い出したのかと、奈々は要領を得ないままただポカンと相手の次の言葉を待っている。しかし宮田はいつまで経っても、その次の言葉を返してこない。
一体何が・・・と思い返し、急にふと、ある可能性に気づいて声をあげた。
「ちょ、ちょっと!ま、まさか」
「なんだよ」
「まさかそれで・・・クリスマスだからって・・・わざわざ電話くれたの?」
宮田からの返事はない。
「えっ・・いや、だって・・・」
「もういい。とにかく・・・」
宮田は半分呆れたような声で奈々の話を遮ったが、
「声が聞けてよかった。じゃあな」
一方的にそう言うと、電話を切ってしまった。
誰よりも宮田と過ごすクリスマスを楽しみにしていたくせに。
クリスマスに電話をくれたことに全く気がつかなかった。
もう『クリスマスや大切な行事には宮田はいません』という認識が染み付いてしまっていて、不意打ちのように来ると全く対処ができなくなる。
「ロマンのかけらもないやつ・・なんて思ってたりして」
机に伏せるようにしておでこをくっつけ、暫し猛省する。
“声が聞けてよかった”だなんて宮田にしては最上級の甘いセリフだ。
どんな顔して言ったんだろう、と電話の向こうを想像するだけで、得体の知れない愛おしさが湧き出てくる。
会えなくても、心が通じ合っていれば・・・
会えなくても、相手のことを愛しいと思う気持ちに変わりがなければ・・・
会えたときの時間を、何よりも大切にできれば・・・
まだこの道を、歩いていても、いいかなあ。
ふと窓の外を見上げると、ひらひらと小さな雪が舞っていた。
雪は空からたくさん降ってくるのに、地面には一つも残らない。
ずっとずっと、空を見ていたいと思った。