3.クリスマス協奏曲 後編
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「きょ、今日はお父さんがいるんだね・・・」
しばらくぶりの宮田の家に、いささか緊張しながら奈々が答える。宮田はジャケットを脱いでベッドに放り投げ、そのまま腰掛けて、
「いないと思ったんだけどな」
と面白くなさそうに呟いた。
「い、いないと思って連れ込んだんだ!?」
「当たり前だろ」
ふぅ、と小さなため息をついて、改めてじっと奈々を見つめた。思わずどきんと心臓が高鳴り、緊張のあまり奈々がその場から動けないでいると、
「座れよ」
「・・・・襲われそう」
「そのつもりなんだよ」
からかっているのか真剣なのか、ポーカーフェイスの宮田から無機質な言葉が飛び出す。自分がどんどん赤面していくのが分かっていながら、止められない。
「ば・・・バカじゃないの!?」
そう言って距離をとったまま立っていると、宮田は立ち上がって奈々の腕を掴み、引き寄せた。
「ちょ、ちょっと・・・!や、やだ・・」
宮田が構わず抱きしめようと力を込める。
拒むべきか受け入れるべきか、よくわからない葛藤の中で、奈々がただただ狼狽え、たじろいでいると、宮田の体が小刻みに揺れているのが分かった。
「・・・ねぇ・・もしかして・・・」
宮田は答えないが、振動は大きくなるばかりだ。
「・・・笑ってる?」
そして宮田はようやく体を離して、顔と腹を押さえながら、
「何期待してんだよ・・・くくくっ・・」
「し、してないもん!!」
自分でも顔が真っ赤になって熱っているのがよくわかる。
先ほどの妖艶な雰囲気が一気にコメディだ。
全く宮田のツボがよくわからない。
「も、もう帰る!!」
怒って宮田に背を向け、ドアの部に手をかけた時だった。
目の前にぶらりと下げられた、可愛らしい紙袋。
先ほど正装を終えたポーチが眠っている、紙袋だ。
「・・・忘れもん」
後ろから宮田が言う。
ドアノブにかけた手をするりとおろし、そして目の前にぶら下げられた紙袋をつかむ。
「・・・ありがと」
宮田は何も言わずに、ただポンと頭に掌を乗せた。
奈々は再度ドアノブに手をかけたが、数秒考えたのち、手を離してくるりと宮田の方を振り返った。
「どうした?」
「・・・やっぱり帰らない」
そう言って奈々は宮田の胸に飛び込む。
宮田は一瞬呆気にとられたものの、すぐに笑って、そのまま体を抱き寄せた。
「声出すなよ」
「ばかばかばか」
ポーチは正装のまま、紙袋ごと床に落とされた。
しばらくぶりの宮田の家に、いささか緊張しながら奈々が答える。宮田はジャケットを脱いでベッドに放り投げ、そのまま腰掛けて、
「いないと思ったんだけどな」
と面白くなさそうに呟いた。
「い、いないと思って連れ込んだんだ!?」
「当たり前だろ」
ふぅ、と小さなため息をついて、改めてじっと奈々を見つめた。思わずどきんと心臓が高鳴り、緊張のあまり奈々がその場から動けないでいると、
「座れよ」
「・・・・襲われそう」
「そのつもりなんだよ」
からかっているのか真剣なのか、ポーカーフェイスの宮田から無機質な言葉が飛び出す。自分がどんどん赤面していくのが分かっていながら、止められない。
「ば・・・バカじゃないの!?」
そう言って距離をとったまま立っていると、宮田は立ち上がって奈々の腕を掴み、引き寄せた。
「ちょ、ちょっと・・・!や、やだ・・」
宮田が構わず抱きしめようと力を込める。
拒むべきか受け入れるべきか、よくわからない葛藤の中で、奈々がただただ狼狽え、たじろいでいると、宮田の体が小刻みに揺れているのが分かった。
「・・・ねぇ・・もしかして・・・」
宮田は答えないが、振動は大きくなるばかりだ。
「・・・笑ってる?」
そして宮田はようやく体を離して、顔と腹を押さえながら、
「何期待してんだよ・・・くくくっ・・」
「し、してないもん!!」
自分でも顔が真っ赤になって熱っているのがよくわかる。
先ほどの妖艶な雰囲気が一気にコメディだ。
全く宮田のツボがよくわからない。
「も、もう帰る!!」
怒って宮田に背を向け、ドアの部に手をかけた時だった。
目の前にぶらりと下げられた、可愛らしい紙袋。
先ほど正装を終えたポーチが眠っている、紙袋だ。
「・・・忘れもん」
後ろから宮田が言う。
ドアノブにかけた手をするりとおろし、そして目の前にぶら下げられた紙袋をつかむ。
「・・・ありがと」
宮田は何も言わずに、ただポンと頭に掌を乗せた。
奈々は再度ドアノブに手をかけたが、数秒考えたのち、手を離してくるりと宮田の方を振り返った。
「どうした?」
「・・・やっぱり帰らない」
そう言って奈々は宮田の胸に飛び込む。
宮田は一瞬呆気にとられたものの、すぐに笑って、そのまま体を抱き寄せた。
「声出すなよ」
「ばかばかばか」
ポーチは正装のまま、紙袋ごと床に落とされた。