27.優しいから
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刹那、心臓に激しい痛みが走った。
と同時に、それを直視してはいけないという命令が脳から下され、体の全ての機能が強制終了されたような気分になった。凝視しているはずのメニューが頭に入ってこない。
「オレはとりあえずパスタ。お前は?」
宮田のなんてことない一言によって、意識は一瞬にして現実に引き戻される。
慌てふためきメニューを一瞥して、パッと目に飛び込んできたものの名前を出す。
「・・・あ、ああ、私は・・・お、オムライスかな」
「かしこまりました」
平然を取り戻し、なんてことない会話を繰り広げながら食事をし、店を後にした。
目の前の宮田が馴染みのお店で好物を食してリラックスしている姿は、奈々の緊張をかなり和らげてくれた。
「なんか夜出歩くなんて久しぶりだなぁ」
履いた言葉とともに少し白くなった息が空へ登って消えた。
「ずいぶん真面目だな」
「真面目なんですぅ」
店から少し歩いたところに小さな公園があった。
宮田はベンチを見つけると、少し休もうぜと言って腰掛け、奈々を手招いた。
奈々も言われるがままに、隣に腰掛ける。
「さっきの店でガムもらったけど食うか?」
「あ、うん」
そう言うと宮田は、右手と左手を握って奈々の前に差し出した。
「・・・まさか、どっちに入ってるでしょうかゲーム?」
「当てたらやるよ」
宮田が挑発的な態度で言うので、奈々も面白くなって
「外れたら?」
「オレがもらう」
「え〜!じゃあ・・・左!」
宮田は、右の拳をゆっくりとおろして、左のみを奈々の目の前に掲げた。
「左だな?」
「う、う・・・・うーん」
念押しされると気持ちが揺らぐ。
うんうん唸っていると宮田が意地悪そうな声で、
「早くしろよ」
「え〜、や、やっぱり右にしようかな・・」
「右?」
「え、う、うーん・・・・」
あれこれ悩む奈々の前で宮田が苛立ちを全く隠さずに顔をしかめるので、その気迫に押された奈々は少し小さくなって、「右」と答えた。
宮田は今度はゆっくりと右の拳を掲げ、左手を下げる。
そして手の甲を上に向けたまま掌を開くと・・・・
何も落ちてこなかった。
「はい、残念」
「やーーーー!左!私最初に左って言ったもん!」
「最後に変えたじゃねぇか」
「やだー!私もガム食べたい〜」
奈々は固く握られた宮田の左拳に手を伸ばす。
中に入ってるガムを奪い取ってやるつもりで、宮田の掌をこじ開けてみる。
その中に入っていたのはガムではなく、誕生石がついた金色のブレスレットだった。
と同時に、それを直視してはいけないという命令が脳から下され、体の全ての機能が強制終了されたような気分になった。凝視しているはずのメニューが頭に入ってこない。
「オレはとりあえずパスタ。お前は?」
宮田のなんてことない一言によって、意識は一瞬にして現実に引き戻される。
慌てふためきメニューを一瞥して、パッと目に飛び込んできたものの名前を出す。
「・・・あ、ああ、私は・・・お、オムライスかな」
「かしこまりました」
平然を取り戻し、なんてことない会話を繰り広げながら食事をし、店を後にした。
目の前の宮田が馴染みのお店で好物を食してリラックスしている姿は、奈々の緊張をかなり和らげてくれた。
「なんか夜出歩くなんて久しぶりだなぁ」
履いた言葉とともに少し白くなった息が空へ登って消えた。
「ずいぶん真面目だな」
「真面目なんですぅ」
店から少し歩いたところに小さな公園があった。
宮田はベンチを見つけると、少し休もうぜと言って腰掛け、奈々を手招いた。
奈々も言われるがままに、隣に腰掛ける。
「さっきの店でガムもらったけど食うか?」
「あ、うん」
そう言うと宮田は、右手と左手を握って奈々の前に差し出した。
「・・・まさか、どっちに入ってるでしょうかゲーム?」
「当てたらやるよ」
宮田が挑発的な態度で言うので、奈々も面白くなって
「外れたら?」
「オレがもらう」
「え〜!じゃあ・・・左!」
宮田は、右の拳をゆっくりとおろして、左のみを奈々の目の前に掲げた。
「左だな?」
「う、う・・・・うーん」
念押しされると気持ちが揺らぐ。
うんうん唸っていると宮田が意地悪そうな声で、
「早くしろよ」
「え〜、や、やっぱり右にしようかな・・」
「右?」
「え、う、うーん・・・・」
あれこれ悩む奈々の前で宮田が苛立ちを全く隠さずに顔をしかめるので、その気迫に押された奈々は少し小さくなって、「右」と答えた。
宮田は今度はゆっくりと右の拳を掲げ、左手を下げる。
そして手の甲を上に向けたまま掌を開くと・・・・
何も落ちてこなかった。
「はい、残念」
「やーーーー!左!私最初に左って言ったもん!」
「最後に変えたじゃねぇか」
「やだー!私もガム食べたい〜」
奈々は固く握られた宮田の左拳に手を伸ばす。
中に入ってるガムを奪い取ってやるつもりで、宮田の掌をこじ開けてみる。
その中に入っていたのはガムではなく、誕生石がついた金色のブレスレットだった。