26.ダメ、ゼッタイ
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中休み。
宮田のクラスに顔を出すと、宮田は「踊り場で」と言い、そのままいつもの“屋上へ続く階段の踊り場”へ向かった。
「どうかした?」
「・・・・腕、見せてみろ」
「・・・はぁ?」
「いいから、腕」
言われるがままに腕を差し出すと、宮田は少しイラついたような態度で、
「袖」
「え?まくるの?」
「早くしろよ」
「・・・・」
偉そうに何よ!と昔なら言い返したものの、なんだかうまく言えない。
無言で袖のボタンを外し、腕をまくって再度拳を突き出す。
宮田は無言かつ無表情で、その手首を握った。
「・・・な、何してんの」
「べつに」
「か、関節技の練習とか?」
「ボクシングに関節技はない」
宮田は何度か手首を握って離すを繰り返し、小さくうなずいた。
何をしているのか全くわからないといった顔をしている奈々を見て、宮田が不適に笑う。
「え・・・ちょっと何笑っ・・・」
言い終わらないうちに腕を引っ張られ、宮田に抱きしめられる。
突然のことに驚き、奈々はとっさに宮田を突き飛ばす。
「うぉっ・・!馬鹿野郎、危ねえだろ!後ろ階段だぞ!」
「バカはそっちよ!何してんのよ!」
「静かにしろ!」
突然響き渡る声に導かれ、階段下にはちらほらと様子を伺う野次馬たちが集まり始めていた。
宮田はチッと軽く舌打ちし、なんの説明もないまま「じゃあな」と残して消えた。
踊り場に一人残された奈々は、腕時計をチラリと確認。あとまだ5分ある。
力が抜けたように階段に座り込み、掴まれた腕に目をやる。
宮田の体温がまだ残っている。
掴まれたところが熱く燃えている。
回された腕に触れた背中や肩が痺れている。
胸に埋めた顔が火照る。
鼻腔を通った宮田の匂いが頭の中をかき回す。
『奈々って、一体宮田の何が好きで一緒にいるの?』
「わからないよぉ・・・」
どうして好きになったのか、何が好きだったのか、どうして一緒にいたのか、どうして一緒にいたいと思ったのか、全てがわからなくなっている中で。
理屈を全部抜きにして、本能が勝手に手を伸ばしてしまう。
一度触れると忘れられない。
遠ざかり麻痺させていた思いが一瞬で色鮮やかに蘇り、全てを覆い尽くしてしまう。
階段の踊り場には、部活の部員募集や生徒会新聞など様々な掲示物が貼ってある。
項垂れていた頭を上げて、目の前に飛び込んできたのは、”ダメ、ゼッタイ”と書かれているポスターだった。
ああ、宮田は危険な薬物だ。
宮田のクラスに顔を出すと、宮田は「踊り場で」と言い、そのままいつもの“屋上へ続く階段の踊り場”へ向かった。
「どうかした?」
「・・・・腕、見せてみろ」
「・・・はぁ?」
「いいから、腕」
言われるがままに腕を差し出すと、宮田は少しイラついたような態度で、
「袖」
「え?まくるの?」
「早くしろよ」
「・・・・」
偉そうに何よ!と昔なら言い返したものの、なんだかうまく言えない。
無言で袖のボタンを外し、腕をまくって再度拳を突き出す。
宮田は無言かつ無表情で、その手首を握った。
「・・・な、何してんの」
「べつに」
「か、関節技の練習とか?」
「ボクシングに関節技はない」
宮田は何度か手首を握って離すを繰り返し、小さくうなずいた。
何をしているのか全くわからないといった顔をしている奈々を見て、宮田が不適に笑う。
「え・・・ちょっと何笑っ・・・」
言い終わらないうちに腕を引っ張られ、宮田に抱きしめられる。
突然のことに驚き、奈々はとっさに宮田を突き飛ばす。
「うぉっ・・!馬鹿野郎、危ねえだろ!後ろ階段だぞ!」
「バカはそっちよ!何してんのよ!」
「静かにしろ!」
突然響き渡る声に導かれ、階段下にはちらほらと様子を伺う野次馬たちが集まり始めていた。
宮田はチッと軽く舌打ちし、なんの説明もないまま「じゃあな」と残して消えた。
踊り場に一人残された奈々は、腕時計をチラリと確認。あとまだ5分ある。
力が抜けたように階段に座り込み、掴まれた腕に目をやる。
宮田の体温がまだ残っている。
掴まれたところが熱く燃えている。
回された腕に触れた背中や肩が痺れている。
胸に埋めた顔が火照る。
鼻腔を通った宮田の匂いが頭の中をかき回す。
『奈々って、一体宮田の何が好きで一緒にいるの?』
「わからないよぉ・・・」
どうして好きになったのか、何が好きだったのか、どうして一緒にいたのか、どうして一緒にいたいと思ったのか、全てがわからなくなっている中で。
理屈を全部抜きにして、本能が勝手に手を伸ばしてしまう。
一度触れると忘れられない。
遠ざかり麻痺させていた思いが一瞬で色鮮やかに蘇り、全てを覆い尽くしてしまう。
階段の踊り場には、部活の部員募集や生徒会新聞など様々な掲示物が貼ってある。
項垂れていた頭を上げて、目の前に飛び込んできたのは、”ダメ、ゼッタイ”と書かれているポスターだった。
ああ、宮田は危険な薬物だ。