25.義務感
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平行線のまま迎えた週末。
宮田から連絡することはなく、そして奈々からも連絡はなかった。
朝のロードワークを終え食事を済ませた後、宮田は着替えて出かける支度をした。
もうすぐ付き合って1年になる。
昨日ジムからの帰り道、枯れて冷たくなった空気を吸い込みながら、どこかで嗅いだことのある匂いだと記憶を辿り、見つけた答え。
あの日、公園の帰り道、手を繋いで奈々を自宅まで送りながら、澄んだ冬の匂いを胸に吸い込んだのを覚えている。
最初はそれなりに彼氏彼女のようなお付き合いができていたものの、プロボクサーになってから・・・いや、なる前だったかもしれないが、ほとんど“お付き合い”らしいものをできてなかった自負はあり、果たして“付き合って1年”などと呼べるものなのかどうか疑わしいと言えばそうなのだが。
電車を乗り継ぎ、しばらくご無沙汰していた繁華街へと繰り出す。
昼前だが家族連れやカップル、若者グループなどで十分賑やかだ。
何を渡せば喜ぶのかは、なんとなく見当がつく。
見た目がとびきり乙女の、小学生女子みたいな趣味のものが好みだ。
ピンクで宝石なんかがついているものに弱い。
女子がたむろしている雑貨店に行こうとしたが、場違いな気がして流石に躊躇してしまった。
踵を返して別の店に行こうとしたところで、何気ない会話が耳に飛び込む。
「あ〜コレ、ゆうちゃんが好きなやつでしょう?」
「え〜?ママそれもう古いよ〜。ゆっこもう飽きた」
「そうなの?早いわね!」
「女子高生の心変わりは光より速いよぉ〜」
・・・・
最後に、アイツと一緒に買い物したのはいつだったろうか。記憶を辿れどなかなか思い出せない。
前に、宝石のジャラジャラついたようなモノをあげたのはクリスマスだったか。その後、どこかで買い物をして、アイツがまたジャラジャラしたモノを買ったのを見たことがある気もするが、あれは夏休みに入る前だったような・・・
いずれにせよかなり前の話だ。
アイツの好きなものに対する知識がもうかなり前で止まっている。
今のアイツが好きなもの、興味があるものについては、全く何の知識もない・・・というか、全く興味を持っていなかったことに気づく。
そして今、彼氏としての義務感からプレゼントを選ぼうとしている自分がいる。
眼前でキラキラと光を反射させるアクセサリー。適当なものを買おうとしたら、指の太さや手首の長さなど、種類が色々あるらしい。
「・・・面倒臭ぇな、色々」
宮田は品物に見当をつけてから、小さな溜息をついて店を後にした。
平行線のまま迎えた週末。
宮田から連絡することはなく、そして奈々からも連絡はなかった。
朝のロードワークを終え食事を済ませた後、宮田は着替えて出かける支度をした。
もうすぐ付き合って1年になる。
昨日ジムからの帰り道、枯れて冷たくなった空気を吸い込みながら、どこかで嗅いだことのある匂いだと記憶を辿り、見つけた答え。
あの日、公園の帰り道、手を繋いで奈々を自宅まで送りながら、澄んだ冬の匂いを胸に吸い込んだのを覚えている。
最初はそれなりに彼氏彼女のようなお付き合いができていたものの、プロボクサーになってから・・・いや、なる前だったかもしれないが、ほとんど“お付き合い”らしいものをできてなかった自負はあり、果たして“付き合って1年”などと呼べるものなのかどうか疑わしいと言えばそうなのだが。
電車を乗り継ぎ、しばらくご無沙汰していた繁華街へと繰り出す。
昼前だが家族連れやカップル、若者グループなどで十分賑やかだ。
何を渡せば喜ぶのかは、なんとなく見当がつく。
見た目がとびきり乙女の、小学生女子みたいな趣味のものが好みだ。
ピンクで宝石なんかがついているものに弱い。
女子がたむろしている雑貨店に行こうとしたが、場違いな気がして流石に躊躇してしまった。
踵を返して別の店に行こうとしたところで、何気ない会話が耳に飛び込む。
「あ〜コレ、ゆうちゃんが好きなやつでしょう?」
「え〜?ママそれもう古いよ〜。ゆっこもう飽きた」
「そうなの?早いわね!」
「女子高生の心変わりは光より速いよぉ〜」
・・・・
最後に、アイツと一緒に買い物したのはいつだったろうか。記憶を辿れどなかなか思い出せない。
前に、宝石のジャラジャラついたようなモノをあげたのはクリスマスだったか。その後、どこかで買い物をして、アイツがまたジャラジャラしたモノを買ったのを見たことがある気もするが、あれは夏休みに入る前だったような・・・
いずれにせよかなり前の話だ。
アイツの好きなものに対する知識がもうかなり前で止まっている。
今のアイツが好きなもの、興味があるものについては、全く何の知識もない・・・というか、全く興味を持っていなかったことに気づく。
そして今、彼氏としての義務感からプレゼントを選ぼうとしている自分がいる。
眼前でキラキラと光を反射させるアクセサリー。適当なものを買おうとしたら、指の太さや手首の長さなど、種類が色々あるらしい。
「・・・面倒臭ぇな、色々」
宮田は品物に見当をつけてから、小さな溜息をついて店を後にした。