終業式が終わって、年末年始を経て。

ジムでの練習や大掃除だったり、奈々の親戚の集まりなどがあったり、冬休みは何かと気ぜわしくて、思うように宮田と会えない日々が続いていた。



「たっちゃん、あけましておめでとう」


木村家と高杉家は新年の挨拶という名目で毎年正月中に一度は一家で顔を合わせている。今年は木村の家へ奈々たちが赴く形だ。

母親同士の仲が良いと言う理由から、木村と奈々は小さい頃から交流があり、奈々は木村を“たっちゃん”と呼んで慕い、木村もまた奈々を本当の妹のように可愛がっていた。


木村は奈々が幼少の頃から十数年にわたり片思いをしていた、初恋の人。木村がどうしても妹としか見られないということで初恋は実ることはなかったが、木村を通して宮田との仲が深まったと言っても過言ではなく、今では木村は二人のキューピッドのような存在になっている。


「よぉ奈々、新年早々元気だな」
「お年玉ちょうだい」
「ねぇよ！」
「ケチぃ」


そんな恒例のやりとりを微笑ましく見ていた母親が突然、


「奈々はてっきり達也くんが好きなんだと思っていたのに、いつのまにか別の彼氏を作ったのよぉ」



なんていう爆弾発言を始めた。



思わず動きの止まる木村と奈々。