7.薄い1日
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4月から宮田と奈々は別のクラスに進級した。
奈々は2年1組、宮田は2年8組と大きく離れてしまい、教室も2階と3階に分かれてしまうほどの距離になった。
欲望に負け続けた春休みが終わり、これで平常運転に戻るかと思いきや、待っていたのは全く接点のない日々と、そしてそのことを意にも介していない男への苛立ちだった。
「あれ?今日は1人?」
フーコが1人で帰り支度を始めた奈々を見て不思議そうに言うと、
「うん」
と奈々は何もなかったように答える。
「宮田は?」
「なんか居残りみたい。先に帰ってって」
「へぇ。待っていればいいのに」
「うーん・・・」
朝から“おはよう”すら言葉を交わさない日々が続いていて、下校だけが唯一会話ができるチャンスだったのに、それすらもなくなると流石にさみしい。
「じゃあさ、今日、バスターミナル横に新しくできたアイス屋行こうと思ってんだけど、奈々も行こうよ?」
「え!行きたい!行く行く!」
久々に友人と寄り道した帰り道は実に清々しかった。
そういえば、宮田と付き合う前は時々、こんな時間があったんだった。
それからみんなが遠慮し始めて、毎日宮田と帰るようになって。
こんな時間があったことをすっかり忘れていた。
宮田は・・・こういう時間をずっと知らずに過ごしてきた人なんだろう。
そう思うと、ふと彼が急に遠い国の住人のように思えてきた。
帰宅して、ご飯を食べて、お風呂に入って、明日の予習をして、寝る。
宮田から特に電話など来るわけもなく。
何をしているのかな?と思っても、こちらから電話をかけることすら躊躇われてしまう。
宮田色の薄い1日。
奈々は2年1組、宮田は2年8組と大きく離れてしまい、教室も2階と3階に分かれてしまうほどの距離になった。
欲望に負け続けた春休みが終わり、これで平常運転に戻るかと思いきや、待っていたのは全く接点のない日々と、そしてそのことを意にも介していない男への苛立ちだった。
「あれ?今日は1人?」
フーコが1人で帰り支度を始めた奈々を見て不思議そうに言うと、
「うん」
と奈々は何もなかったように答える。
「宮田は?」
「なんか居残りみたい。先に帰ってって」
「へぇ。待っていればいいのに」
「うーん・・・」
朝から“おはよう”すら言葉を交わさない日々が続いていて、下校だけが唯一会話ができるチャンスだったのに、それすらもなくなると流石にさみしい。
「じゃあさ、今日、バスターミナル横に新しくできたアイス屋行こうと思ってんだけど、奈々も行こうよ?」
「え!行きたい!行く行く!」
久々に友人と寄り道した帰り道は実に清々しかった。
そういえば、宮田と付き合う前は時々、こんな時間があったんだった。
それからみんなが遠慮し始めて、毎日宮田と帰るようになって。
こんな時間があったことをすっかり忘れていた。
宮田は・・・こういう時間をずっと知らずに過ごしてきた人なんだろう。
そう思うと、ふと彼が急に遠い国の住人のように思えてきた。
帰宅して、ご飯を食べて、お風呂に入って、明日の予習をして、寝る。
宮田から特に電話など来るわけもなく。
何をしているのかな?と思っても、こちらから電話をかけることすら躊躇われてしまう。
宮田色の薄い1日。