5.バレンタイン・デイ
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2月14日、バレンタインデー。
今年初めて・・・・木村と父親以外の男の人にチョコレートをあげる。
羅列してみて思ったのは、木村というのはやはり“父親”と同列で語られるような存在なんだろうなということ。
前日の夕方からアレコレと仕込んでみたのだが、どうも力が入ってうまくいかない。見てくれの悪いチョコレートが3つならんで、それぞれ“パパへ”、“たっちゃんへ”と書いたものの、最後の“宮田へ”の段階で、チョコレートの出来に急に自信を無くしてしまった。
「・・・やっぱり、既製品にしよ」
奈々は財布を握りしめて、近所のスーパーへ駆けて行った。
翌日。
いつもは厳しい持ち物検査をする学校が、この日は黙認とばかりにユルめで、鞄の中もろくに見ずに検問をくぐらせる。
風紀委員だって人間だ。この日くらいは見逃してあげたいという現れなのだろう。逆に、この日に限って張り切るパターンもあり、こればかりは毎年の運ともいえるが。
教室に着くと、いつも先についているはずの宮田の姿が見えなかった。珍しいこともあるものだ、と思ってぼうっと立っていると、後ろから「邪魔」と偉く態度の悪い声が聞こえた。ご本人様の登場だ。
「あ、おはよ」
「・・・ああ」
何やら不機嫌な宮田は、挨拶もそこそこに自席へ座る。
なんとなく、話しかけづらい雰囲気だ。
自分たちの関係はそこまで公にはなっていないが、特に隠していると言うわけでもない。だが、流石に公衆の面前で堂々とチョコレートを渡すほど、大胆にはなれなかった。
「ちょっとダンナさん偉く不機嫌じゃない?」
友人のフーコがボソリと呟く。
「そうだねぇ・・」
するともう1人の友人トモが、
「奈々を前に言いづらいんだけど・・・朝、ちょっと大変なことになってたよ」
「え?」
「靴箱からチョコレートがドドドッと落ちてきて」
簡単に想像できる図に、一同は「あぁ〜」と間抜けなリアクション。
「さすがおモテになるのねぇ、ダンナ様」
「ちょっと、“ダンナ様”はやめてよ・・・」
茶化すフーコを小突きながら奈々の心中は複雑だ。
そういえば昔も告白されている現場に出会したことがあった。忘れていたがそういえば宮田はそこそこ人気があるのだった。
「でもあのオーラじゃさすがに話しかけられないよね」
「近寄るんじゃねぇって顔に書いてあるもんね」
フーコらが面白おかしく話す中で、奈々はただ乾いた笑いを浮かべながら、鞄の中のチョコレートをどうしようかと考えていた。
今年初めて・・・・木村と父親以外の男の人にチョコレートをあげる。
羅列してみて思ったのは、木村というのはやはり“父親”と同列で語られるような存在なんだろうなということ。
前日の夕方からアレコレと仕込んでみたのだが、どうも力が入ってうまくいかない。見てくれの悪いチョコレートが3つならんで、それぞれ“パパへ”、“たっちゃんへ”と書いたものの、最後の“宮田へ”の段階で、チョコレートの出来に急に自信を無くしてしまった。
「・・・やっぱり、既製品にしよ」
奈々は財布を握りしめて、近所のスーパーへ駆けて行った。
翌日。
いつもは厳しい持ち物検査をする学校が、この日は黙認とばかりにユルめで、鞄の中もろくに見ずに検問をくぐらせる。
風紀委員だって人間だ。この日くらいは見逃してあげたいという現れなのだろう。逆に、この日に限って張り切るパターンもあり、こればかりは毎年の運ともいえるが。
教室に着くと、いつも先についているはずの宮田の姿が見えなかった。珍しいこともあるものだ、と思ってぼうっと立っていると、後ろから「邪魔」と偉く態度の悪い声が聞こえた。ご本人様の登場だ。
「あ、おはよ」
「・・・ああ」
何やら不機嫌な宮田は、挨拶もそこそこに自席へ座る。
なんとなく、話しかけづらい雰囲気だ。
自分たちの関係はそこまで公にはなっていないが、特に隠していると言うわけでもない。だが、流石に公衆の面前で堂々とチョコレートを渡すほど、大胆にはなれなかった。
「ちょっとダンナさん偉く不機嫌じゃない?」
友人のフーコがボソリと呟く。
「そうだねぇ・・」
するともう1人の友人トモが、
「奈々を前に言いづらいんだけど・・・朝、ちょっと大変なことになってたよ」
「え?」
「靴箱からチョコレートがドドドッと落ちてきて」
簡単に想像できる図に、一同は「あぁ〜」と間抜けなリアクション。
「さすがおモテになるのねぇ、ダンナ様」
「ちょっと、“ダンナ様”はやめてよ・・・」
茶化すフーコを小突きながら奈々の心中は複雑だ。
そういえば昔も告白されている現場に出会したことがあった。忘れていたがそういえば宮田はそこそこ人気があるのだった。
「でもあのオーラじゃさすがに話しかけられないよね」
「近寄るんじゃねぇって顔に書いてあるもんね」
フーコらが面白おかしく話す中で、奈々はただ乾いた笑いを浮かべながら、鞄の中のチョコレートをどうしようかと考えていた。