40.心配
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公園の入り口にある輪止めに腰掛け、木村はふぅとため息をついた。
いつものロードワークのコースからはだいぶ外れていて、目に飛び込んでくる景色がやたら新鮮だ。それなのに気持ちはなんだか、今日の天気のようにどんよりとしている。
「あと10分くらいってとこだろうな」
以前青木がスクーターでこの辺を通りかかった際に、ロードワーク中の宮田を見かけたと言っていた。宮田の性格からして毎日同じような時間に同じようなコースを通るのだろうと思った木村は、電話をかけても出ない、家に押しかけても居留守を決め込む宮田に会うために、わざわざ遠回りして待ち伏せをしていると言うわけだ。
案の定、“あと10分”を待たずに、お待ちかねの人物が姿を現した。規則正しい息遣いと、軽快なステップワーク。鴨川ジムにいた頃と変わらないな、と木村は思った。
「よぉ」
木村が輪止めに腰掛けながら片手を上げて挨拶するも、宮田はまるでそれが目に入らなかったかのように、目の前を素通りしていった。なんとなくこうなるだろうとは予想していたものの、実際にその通りされると面白くない。
「おい、無視してんじゃねぇぞ!」
木村はそう叫んで、宮田の後を追いかけ、肩を掴んだ。
宮田ならいくらでも速度を上げて逃げる事ができたろうに、それをしないでワザと捕まるのは、つまりは話をする気持ちはあると言う事だ・・・木村はそう解釈した。
「なんですか、いきなり」
「なんですか、じゃねぇよ」
宮田が立ち止まり、不機嫌さを微塵も隠さずに呟くので、木村も負けじと不愉快さをアピールしながら答えた。
「話があんだよ」
「・・・だから、何の用です」
「アイツのことだよ」
「アイツってだ・・」
「誰とは言わせねぇぞこの野郎!」
宮田の淡々とした態度に木村は思わず殴りかかるも、さっとスウェーバックで避けられてしまった。「この、この」と言いながら続けるも、一撃も被弾する予感がしない。最後にはパシっと手のひらで拳を受け止められてしまった。
「スパーの相手にもならない」
「んだとコラァ!」
「時間ないんで。失礼します」
「待ちやがれ!この!」
そう言いながら木村は宮田に無理やりクリンチを仕掛ける。
公園の入り口で抱き合う二人の男。そして何やらモメている。
宮田は冷静に考え、あまり絵面の良いものではないと理解し、木村を引き剥がそうとする腕の力を緩めた。
公園の入り口にある輪止めに腰掛け、木村はふぅとため息をついた。
いつものロードワークのコースからはだいぶ外れていて、目に飛び込んでくる景色がやたら新鮮だ。それなのに気持ちはなんだか、今日の天気のようにどんよりとしている。
「あと10分くらいってとこだろうな」
以前青木がスクーターでこの辺を通りかかった際に、ロードワーク中の宮田を見かけたと言っていた。宮田の性格からして毎日同じような時間に同じようなコースを通るのだろうと思った木村は、電話をかけても出ない、家に押しかけても居留守を決め込む宮田に会うために、わざわざ遠回りして待ち伏せをしていると言うわけだ。
案の定、“あと10分”を待たずに、お待ちかねの人物が姿を現した。規則正しい息遣いと、軽快なステップワーク。鴨川ジムにいた頃と変わらないな、と木村は思った。
「よぉ」
木村が輪止めに腰掛けながら片手を上げて挨拶するも、宮田はまるでそれが目に入らなかったかのように、目の前を素通りしていった。なんとなくこうなるだろうとは予想していたものの、実際にその通りされると面白くない。
「おい、無視してんじゃねぇぞ!」
木村はそう叫んで、宮田の後を追いかけ、肩を掴んだ。
宮田ならいくらでも速度を上げて逃げる事ができたろうに、それをしないでワザと捕まるのは、つまりは話をする気持ちはあると言う事だ・・・木村はそう解釈した。
「なんですか、いきなり」
「なんですか、じゃねぇよ」
宮田が立ち止まり、不機嫌さを微塵も隠さずに呟くので、木村も負けじと不愉快さをアピールしながら答えた。
「話があんだよ」
「・・・だから、何の用です」
「アイツのことだよ」
「アイツってだ・・」
「誰とは言わせねぇぞこの野郎!」
宮田の淡々とした態度に木村は思わず殴りかかるも、さっとスウェーバックで避けられてしまった。「この、この」と言いながら続けるも、一撃も被弾する予感がしない。最後にはパシっと手のひらで拳を受け止められてしまった。
「スパーの相手にもならない」
「んだとコラァ!」
「時間ないんで。失礼します」
「待ちやがれ!この!」
そう言いながら木村は宮田に無理やりクリンチを仕掛ける。
公園の入り口で抱き合う二人の男。そして何やらモメている。
宮田は冷静に考え、あまり絵面の良いものではないと理解し、木村を引き剥がそうとする腕の力を緩めた。