30.甘ったれるな
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結局流されるまま、うやむやになってしまった結末。
あれから奈々は家に電話をかけ無事を伝えたが、親も「はいそうですか」と黙って見過ごすわけがないようで、能天気な母親にしては珍しく厳しい口調で今すぐ帰宅するように言われた。
ジャージ姿に着替えた宮田は自転車で奈々を送り届けた後、母親に挨拶をするわけでもなくすぐにその場から走り去った。奈々の家から宮田の家は電車を乗り継ぐ距離にあると言うのに。
「ただいま」
奈々が恐る恐る玄関を開けると、母親はリビングでテレビを見ているらしかった。そのままリビングへ足を運び、階段を通って2階へ行こうとしたところで母親に呼び止められた。
「宮田くんは?」
「えっ・・・あ、か、帰ったけど・・・」
「そう」
母親はおもむろにテレビのスイッチを消して、ずかずかと歩み寄って来た。
珍しく能天気な表情が消え、やや威圧感のある厳しい表情を浮かべている。
「ママね、あなたの恋愛にとやかく言うつもりはないんだけど・・・」
そう言って、いかにもこれから説教が始まるというような雰囲気が漂い始めた矢先のことだった。
「毎朝8時45分から楽しみにしているドラマがあるのよ。あなたが学校をサボったりして先生から電話が来ると見られないわけ!今日すっごく大事なシーンだったのに全然見られなかったわ!今後、こう言うことがないようにして頂戴!以上!」
予想とは全く違う方向の説教に奈々は呆気にとられ、その場に立ち尽くすしかなかった。てっきり宮田と学校をサボったことを咎められると思ったのに、まさかドラマ鑑賞の邪魔をしたことについて怒られるとは。
「ご、ごめんなさい・・・」
何だかよくわからない感情を抱えたまま奈々が2階へ上がろうとすると、母親はまた続けて言った。
「幸にしてビデオ撮ってたから後でゆっくり見るわ。もう晩ご飯まで降りてこないで」
「えっ・・・もうすぐお昼・・・」
すると母親はキッチンからカップ麺とお湯の入った保温瓶を手渡し、無言で微笑んだ。昼はこれを食え、とのことだ。
追い立てられるように部屋に戻された奈々は、いつもの天然な様子の母親に安堵し、ベッドに体全体を預けて沈んだ。
『来年は忘れねぇから』
宮田の珍しいほどに甘い言葉が頭から離れない。
もう何が正解なのか、自分がどうしたいかもわからない。
好きであると言うことがこれほどの苦痛だなんて思わなかった。
どうすれば痛みなく相手を好きになれるんだろう。
あれから奈々は家に電話をかけ無事を伝えたが、親も「はいそうですか」と黙って見過ごすわけがないようで、能天気な母親にしては珍しく厳しい口調で今すぐ帰宅するように言われた。
ジャージ姿に着替えた宮田は自転車で奈々を送り届けた後、母親に挨拶をするわけでもなくすぐにその場から走り去った。奈々の家から宮田の家は電車を乗り継ぐ距離にあると言うのに。
「ただいま」
奈々が恐る恐る玄関を開けると、母親はリビングでテレビを見ているらしかった。そのままリビングへ足を運び、階段を通って2階へ行こうとしたところで母親に呼び止められた。
「宮田くんは?」
「えっ・・・あ、か、帰ったけど・・・」
「そう」
母親はおもむろにテレビのスイッチを消して、ずかずかと歩み寄って来た。
珍しく能天気な表情が消え、やや威圧感のある厳しい表情を浮かべている。
「ママね、あなたの恋愛にとやかく言うつもりはないんだけど・・・」
そう言って、いかにもこれから説教が始まるというような雰囲気が漂い始めた矢先のことだった。
「毎朝8時45分から楽しみにしているドラマがあるのよ。あなたが学校をサボったりして先生から電話が来ると見られないわけ!今日すっごく大事なシーンだったのに全然見られなかったわ!今後、こう言うことがないようにして頂戴!以上!」
予想とは全く違う方向の説教に奈々は呆気にとられ、その場に立ち尽くすしかなかった。てっきり宮田と学校をサボったことを咎められると思ったのに、まさかドラマ鑑賞の邪魔をしたことについて怒られるとは。
「ご、ごめんなさい・・・」
何だかよくわからない感情を抱えたまま奈々が2階へ上がろうとすると、母親はまた続けて言った。
「幸にしてビデオ撮ってたから後でゆっくり見るわ。もう晩ご飯まで降りてこないで」
「えっ・・・もうすぐお昼・・・」
すると母親はキッチンからカップ麺とお湯の入った保温瓶を手渡し、無言で微笑んだ。昼はこれを食え、とのことだ。
追い立てられるように部屋に戻された奈々は、いつもの天然な様子の母親に安堵し、ベッドに体全体を預けて沈んだ。
『来年は忘れねぇから』
宮田の珍しいほどに甘い言葉が頭から離れない。
もう何が正解なのか、自分がどうしたいかもわからない。
好きであると言うことがこれほどの苦痛だなんて思わなかった。
どうすれば痛みなく相手を好きになれるんだろう。