3.クリスマス協奏曲 後編
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クリスマスイブの駅前は賑やかで、浮き足立った気持ちがさらにフワフワと舞い上がっていく。
高校生同士のたわいないデート故に、入ったレストランも地元のレストランという何の変哲もないチョイスではあったが、 それでも“デート感”を味わわせてくれるには十分だ。
普通のランチセットを頼んで、普通のいつものおしゃべりに興じる。と言っても大半は奈々が一方的に話しているのだが。
食後のコーヒーも飲み干したタイミングで時計を見るとまだ2時過ぎと言ったところだった。このままサヨウナラをするにはいささか早いような気もしたが、別にこの後の特別なプランは何もない。
「この後・・・どうしようか」
「・・・何か行きたいところとか、したいこととかないのか?」
「うーん・・・」
行きたいところ・・・したいこと・・・
クリスマスを一緒に過ごすことは楽しみにしていたけど、ランチの後のことをまるっきり考えていなかった。
いつもほぼ公園か図書館にしか行ってないので、こう言う時どこで何をすればいいのか迷ってしまう。
「ちょっと席外すぜ。戻るまで考えとけよな」
「はーい」
宮田が席を離れている間にうーんうーんと頭を抱えて考える。コーヒーも今飲んだばかりだし、お腹もいっぱい。もう、その辺の雑貨屋をウロウロするくらいのプランしかない。
「そういや、駅ビルの雑貨屋にしばらく行ってないなぁ・・・でも宮田は興味ないかもしれないし・・・」
考えがまとまりきらないうちに宮田が戻って来た。もうこうなったら、頭に浮かんだそのままを言うしかない。
「考えはまとまったか?」
「うーん・・・私の行きたいところでもいいの?」
「どこでもいいけど」
「じゃあ、駅ビルまで行こ?」
それを聞いて、宮田は静かに席を立ち、そしてそのままレジをすり抜けて店外に出て行った。
「え?あ?あれ?お会計!?」
レジ前で慌てた様子の奈々を見て、店員がクスリと微笑みながら言う。
「彼氏さんが払って行きましたよ」
“彼氏さん”はドアの外で背を向けたまま奈々が出てくるのを待っている。
「え!?えええ!?あ、ど、どうも」
席を外すなんて、今考えれば分かりやすい“オゴリサイン”だったのに全く気がつかなかった。
「み、宮田・・あの・・お、お会計・・・」
「駅ビルまで案内しろよ。しばらく行ってなくて忘れちまった」
「いや、お会計・・」
「早く」
宮田は目も合わせずに冷たく言い放った。彼なりの照れ隠しに気がつくと、奈々は会計のことは口を窄めて、宮田の服の裾をちょこっと握りしめて呟いた。
「・・・こっち」
高校生同士のたわいないデート故に、入ったレストランも地元のレストランという何の変哲もないチョイスではあったが、 それでも“デート感”を味わわせてくれるには十分だ。
普通のランチセットを頼んで、普通のいつものおしゃべりに興じる。と言っても大半は奈々が一方的に話しているのだが。
食後のコーヒーも飲み干したタイミングで時計を見るとまだ2時過ぎと言ったところだった。このままサヨウナラをするにはいささか早いような気もしたが、別にこの後の特別なプランは何もない。
「この後・・・どうしようか」
「・・・何か行きたいところとか、したいこととかないのか?」
「うーん・・・」
行きたいところ・・・したいこと・・・
クリスマスを一緒に過ごすことは楽しみにしていたけど、ランチの後のことをまるっきり考えていなかった。
いつもほぼ公園か図書館にしか行ってないので、こう言う時どこで何をすればいいのか迷ってしまう。
「ちょっと席外すぜ。戻るまで考えとけよな」
「はーい」
宮田が席を離れている間にうーんうーんと頭を抱えて考える。コーヒーも今飲んだばかりだし、お腹もいっぱい。もう、その辺の雑貨屋をウロウロするくらいのプランしかない。
「そういや、駅ビルの雑貨屋にしばらく行ってないなぁ・・・でも宮田は興味ないかもしれないし・・・」
考えがまとまりきらないうちに宮田が戻って来た。もうこうなったら、頭に浮かんだそのままを言うしかない。
「考えはまとまったか?」
「うーん・・・私の行きたいところでもいいの?」
「どこでもいいけど」
「じゃあ、駅ビルまで行こ?」
それを聞いて、宮田は静かに席を立ち、そしてそのままレジをすり抜けて店外に出て行った。
「え?あ?あれ?お会計!?」
レジ前で慌てた様子の奈々を見て、店員がクスリと微笑みながら言う。
「彼氏さんが払って行きましたよ」
“彼氏さん”はドアの外で背を向けたまま奈々が出てくるのを待っている。
「え!?えええ!?あ、ど、どうも」
席を外すなんて、今考えれば分かりやすい“オゴリサイン”だったのに全く気がつかなかった。
「み、宮田・・あの・・お、お会計・・・」
「駅ビルまで案内しろよ。しばらく行ってなくて忘れちまった」
「いや、お会計・・」
「早く」
宮田は目も合わせずに冷たく言い放った。彼なりの照れ隠しに気がつくと、奈々は会計のことは口を窄めて、宮田の服の裾をちょこっと握りしめて呟いた。
「・・・こっち」