26.ダメ、ゼッタイ
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もうすぐ付き合って1年。
手帳にこっそりと○をつけていた、特別な日付。
きっと宮田は、それが何月何日なのかも知らないのだろうけど。
「おい」
朝っぱらから丸めた冊子のようなもので頭を叩かれ、何事かと振り返ると宮田が相変わらずの仏頂面で立っていた。
「あ・・・おはよ」
学校で宮田に朝の挨拶をされるなんて珍しい。
何事かと思い構えながら答えると、
「ちょっといいか?」
「え?いや、もうホームルーム始まるけど」
「じゃあ中休みに来いよ」
宮田は無表情でそう言って偉そうな歩幅で自分の教室の方へと去っていった。
「ちょっと奥さん、ダンナさん相変わらずの亭主関白ね」
トモたちが怪訝な顔をしながら言う。
「まぁね・・・でもなんだろ、珍しいから気になるな」
あっさりと奈々が答えるとフーコが怪訝な顔をさらにしかめて
「もう、奈々は本当に宮田に甘い」
「え?」
「あんな態度取られて腹立たないの?」
「べ、別に・・・」
「“中休みに再び参りますのでお時間いただけますか?”って言えないのかな!?」
「それどこのサラリーマン・・・」
フーコのありがたいところは、こう言ったセンシティブな話題の中にも笑いの要素を入れて、あまり重たくなくしてくれるところだ。そして宮田の亭主関白には慣れてしまって、みんなが言うほどのことは何も感じない。
さあ席に戻っていつもの1日の始まりだ、と思った矢先、トモがボソリと言った。
「奈々って、一体宮田の何が好きで一緒にいるの?」
KO負けした選手ってこんな気分なんだろうか。
食らった瞬間に時間が止まってしまったかのような、真っ白な画面で一時停止してしまったような。
再生ボタンを押したら、地面に倒れてもう二度と立ち上がれない。
聞こえなかったふりをして席に戻った。
追求してこない優しさがありがたくて、だけどそれは、追求させないほどの悲壮感を私が出していることの証左にも思えた。
手帳にこっそりと○をつけていた、特別な日付。
きっと宮田は、それが何月何日なのかも知らないのだろうけど。
「おい」
朝っぱらから丸めた冊子のようなもので頭を叩かれ、何事かと振り返ると宮田が相変わらずの仏頂面で立っていた。
「あ・・・おはよ」
学校で宮田に朝の挨拶をされるなんて珍しい。
何事かと思い構えながら答えると、
「ちょっといいか?」
「え?いや、もうホームルーム始まるけど」
「じゃあ中休みに来いよ」
宮田は無表情でそう言って偉そうな歩幅で自分の教室の方へと去っていった。
「ちょっと奥さん、ダンナさん相変わらずの亭主関白ね」
トモたちが怪訝な顔をしながら言う。
「まぁね・・・でもなんだろ、珍しいから気になるな」
あっさりと奈々が答えるとフーコが怪訝な顔をさらにしかめて
「もう、奈々は本当に宮田に甘い」
「え?」
「あんな態度取られて腹立たないの?」
「べ、別に・・・」
「“中休みに再び参りますのでお時間いただけますか?”って言えないのかな!?」
「それどこのサラリーマン・・・」
フーコのありがたいところは、こう言ったセンシティブな話題の中にも笑いの要素を入れて、あまり重たくなくしてくれるところだ。そして宮田の亭主関白には慣れてしまって、みんなが言うほどのことは何も感じない。
さあ席に戻っていつもの1日の始まりだ、と思った矢先、トモがボソリと言った。
「奈々って、一体宮田の何が好きで一緒にいるの?」
KO負けした選手ってこんな気分なんだろうか。
食らった瞬間に時間が止まってしまったかのような、真っ白な画面で一時停止してしまったような。
再生ボタンを押したら、地面に倒れてもう二度と立ち上がれない。
聞こえなかったふりをして席に戻った。
追求してこない優しさがありがたくて、だけどそれは、追求させないほどの悲壮感を私が出していることの証左にも思えた。