17.最終日
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あの日、宮田が帰ってからの記憶が曖昧だが、泣くだけ泣いて次の日にはアッサリとポーカーフェイスを作り直した。
父親はもう仕事に行っていて、母親は何かを察していたようだが、何も聞かなかった。
次の日の夜には目の腫れも引いて、普通にみんなで夕食を食べた。
ああ、何も変わらない。
相変わらず、宮田から電話が来ることもないし。
両親も、宮田の話はしない(父親は特に宮田の話を聞きたがらないため)。
このまま関係が終わっても、何も変わらないのかもな、なんて思ったりした。
夏休み最後の日。
新学期から使う文具を買いに、奈々は駅前へ買い物に来ていた。
自転車を停めて駅ビルに入ろうとした入り口で、しばらく会っていなかった人物と出会う。
夏休み前に喧嘩をして、そのまま気まずくなっていたフーコだ。
フーコも1人で買い物に来ているようだった。
向こうはまだこちらに気付いていない。
声をかけようかどうか悩んで、足が思うように前に進まない。
正直あれからずっと謝りたいと思ってはいたけれど、今まさかこんなところで会うとは思ってもいなかったので心の準備ができていないのだ。
そんな時ふと頭に浮かんだ自分の言葉。
〈どうして・・いつも何も言ってくれないの?〉
ああ、そうだ。
心の中にあるものは、思っているだけじゃ伝わらない。
言葉にしないと、相手には届かない。
私は自分ができていないくせに、どうして相手にそれを求められるというの?
意を決して声を掛けようとした矢先、こちらの方へ振り向いたフーコと目があった。
そして目と目が合うや否や、フーコは大粒の涙をこぼして泣き出し、くるりと背を向けて走っていってしまった。
「え!?ま・・・待って!」
フーコはエレベーターに乗り込んで上へ上がっていってしまった。
だが、あの泣きっ面でショッピングをするとは思えない。
きっと屋上のベンチにでも逃げるのだろうと思った奈々は、隣のエレベーターに乗り込んでRのボタンを押した。
屋上に着くと、フーコが隅の方で隠れるようにして泣いているのを見つけた。
息を切らして駆け寄ると、今度はもう逃げられなかった。
「あ、あの・・。フーコ・・その・・」
するとフーコは急に奈々に抱きつき、大声でわんわん泣きながら、
「私・・・別れちゃったのぉおおおお!」
「え。え、ええ!?」
「フラれちゃったよぉおおおええええん」
父親はもう仕事に行っていて、母親は何かを察していたようだが、何も聞かなかった。
次の日の夜には目の腫れも引いて、普通にみんなで夕食を食べた。
ああ、何も変わらない。
相変わらず、宮田から電話が来ることもないし。
両親も、宮田の話はしない(父親は特に宮田の話を聞きたがらないため)。
このまま関係が終わっても、何も変わらないのかもな、なんて思ったりした。
夏休み最後の日。
新学期から使う文具を買いに、奈々は駅前へ買い物に来ていた。
自転車を停めて駅ビルに入ろうとした入り口で、しばらく会っていなかった人物と出会う。
夏休み前に喧嘩をして、そのまま気まずくなっていたフーコだ。
フーコも1人で買い物に来ているようだった。
向こうはまだこちらに気付いていない。
声をかけようかどうか悩んで、足が思うように前に進まない。
正直あれからずっと謝りたいと思ってはいたけれど、今まさかこんなところで会うとは思ってもいなかったので心の準備ができていないのだ。
そんな時ふと頭に浮かんだ自分の言葉。
〈どうして・・いつも何も言ってくれないの?〉
ああ、そうだ。
心の中にあるものは、思っているだけじゃ伝わらない。
言葉にしないと、相手には届かない。
私は自分ができていないくせに、どうして相手にそれを求められるというの?
意を決して声を掛けようとした矢先、こちらの方へ振り向いたフーコと目があった。
そして目と目が合うや否や、フーコは大粒の涙をこぼして泣き出し、くるりと背を向けて走っていってしまった。
「え!?ま・・・待って!」
フーコはエレベーターに乗り込んで上へ上がっていってしまった。
だが、あの泣きっ面でショッピングをするとは思えない。
きっと屋上のベンチにでも逃げるのだろうと思った奈々は、隣のエレベーターに乗り込んでRのボタンを押した。
屋上に着くと、フーコが隅の方で隠れるようにして泣いているのを見つけた。
息を切らして駆け寄ると、今度はもう逃げられなかった。
「あ、あの・・。フーコ・・その・・」
するとフーコは急に奈々に抱きつき、大声でわんわん泣きながら、
「私・・・別れちゃったのぉおおおお!」
「え。え、ええ!?」
「フラれちゃったよぉおおおええええん」