14.動揺
お名前設定はこちら
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「こないだね、鴨川ジムの花火大会に行ってきたんだよ」
「そっか。騒がしかっただろうな」
「うん。鷹村さんも相変わらずでね・・・」
忙しい合間を縫って宮田が電話をかけてきた夜。
積もる話を怒涛の勢いで話し続ける奈々に、時折相槌を打つだけの寡黙な宮田だが、声を聞けるだけでも奈々は十分に嬉しかった。
15分程度の短い会話だったが、宮田の声は幸せに包まれて眠ることのできる安眠剤みたいな存在だ。それまでにあった嫌なことも辛いことも全部忘れることのできる魔法でもある。
それでも、その魔法を有効にするために、どうしても言ってはいけない言葉がある。
「会いたい」とか「寂しい」とか、そういう類の呪いの言葉だ。
言ったところで相手が困るのは目に見えている。
言ったところで相手に負担をかけるのは目に見えている。
だからいつも、そう言った類の言葉はぐっと引っ込めて、明るく「またね」と電話を切る。
胸の中でピキッと音を立てる何かを、決して認識してはいけない。
「そっか。騒がしかっただろうな」
「うん。鷹村さんも相変わらずでね・・・」
忙しい合間を縫って宮田が電話をかけてきた夜。
積もる話を怒涛の勢いで話し続ける奈々に、時折相槌を打つだけの寡黙な宮田だが、声を聞けるだけでも奈々は十分に嬉しかった。
15分程度の短い会話だったが、宮田の声は幸せに包まれて眠ることのできる安眠剤みたいな存在だ。それまでにあった嫌なことも辛いことも全部忘れることのできる魔法でもある。
それでも、その魔法を有効にするために、どうしても言ってはいけない言葉がある。
「会いたい」とか「寂しい」とか、そういう類の呪いの言葉だ。
言ったところで相手が困るのは目に見えている。
言ったところで相手に負担をかけるのは目に見えている。
だからいつも、そう言った類の言葉はぐっと引っ込めて、明るく「またね」と電話を切る。
胸の中でピキッと音を立てる何かを、決して認識してはいけない。