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中編

 部屋にはウラヌスの苦しげな声が響く。相も変わらずウラヌスを救う方法は見つからず、そして容態は悪くなる一方だった。
 ウラヌスの看病をしながらプルートとマーキュリーはより詳しく、ウラヌスの身に何が起きているのか探ろうとしていた。

「……ダメだわ、全く原因が分からない」
「体内で何かが作用しているのでしょうが……」
「ええ。でも、靄がかかったように見ることも分析することも出来ない……」

 プルートはウラヌスの額の汗を拭いながら呟くと眉を顰める。マーキュリーも同じように眉を顰めながらウラヌスの容態をまとめた紙とにらめっこをしていた。

「敵が攻めてくるまであと2日……時間もありません。ネプチューンがそれまでに戻って来れるかどうかに、かかりますね」
「少しでも手掛かりが掴めれば、ネプチューンの助けにもなるんですけど……」

 2人が会話を続けていると部屋の扉がノックされる。プルートが返事をすると扉が開かれ、中に入ってきたのはクイーンとキングだった。
 プルートとマーキュリーは突然の2人の訪問に驚き、慌てて姿勢を正そうとするがそれをクイーンが制した。

「プルート、マーキュリー。ウラヌスの容態は……」
「芳しくありません。原因も解決法も見つからず、容態は悪化するばかりです」
「先日ご報告致しましたように、件の敵は20世紀で1度ウラヌスとネプチューンと交戦しております。その時に何か仕掛けられたものと考え、ただいまネプチューンが20世紀に赴いております」
「そうですか……」

 マーキュリーとプルートの報告にクイーンは悲しそうに顔を歪めるとウラヌスの横たわるベッドにそっと足を向ける。キングもクイーンの横に寄り添いながらベッドの傍らに佇む。
 キングはクイーンの肩に手を添え、クイーンはウラヌスの手を握る。すると、クイーンとキングのエナジーがウラヌスを包み込んだ。

「クイーン、キング……!?」

 驚いたプルートが2人を呼ぶが2人は振り返らず、ただウラヌスを見つめてエナジーを送り込んでいた。

「私たちは、戦えません。私たちを、地球を守ろうとしてくれるあなたたちの力になれないのです」
「だからせめて、傷を癒すぐらいはさせて欲しい」
「そんな、力になれないだなんて……! クイーンもキングも、とても大きな力を有していらっしゃるのに……!」

 マーキュリーの言葉にクイーンは微笑むとありがとう、と呟いた。その慈愛と悲しみに満ちた微笑みを見てプルートもマーキュリーも、それ以上何も言えなくなってしまった。
 クイーンとキングのエナジーのおかげか、ウラヌスの顔色が多少良くなった。ずっと荒かった呼吸も落ち着き、その場にいた全員が一時的なものだとしても容態の悪化が緩和されたことに胸を撫で下ろす。すると、キングが何かに気付いた。

「……ん?」
「どうかしたの?」
「いや、ウラヌスの胸のあたり……心臓、か? 何だか、嫌な感じがするな」
「え?」

 キングは眉を顰めながらクイーンの問いに答える。そしてキングの言葉にクイーンもウラヌスの心臓付近に意識を集中させた。2人の会話にプルートとマーキュリーも背後から顔を覗かせる。
 クイーンはキングの言う嫌な感じを同じように感じ取るとマーキュリーに心臓付近を詳しく見るように指示する。

「どうですか、マーキュリー」
「何か種、のようなものが埋め込まれています。いえ、正確には根付いている……?」

 今まで靄がかかったように見えなかったウラヌスの体内が急に鮮明に見えるようになった。それは恐らくクイーンとキングの癒しの力によるものだった。
 その結果、見えたその種がウラヌスを苦しめている原因だろうと確信した4人はどうにかそれを取り除けないかと考える。あるいはクイーンの銀水晶の力で浄化できないかと試すが、残念ながら効果はなかった。

「そんな……」

 銀水晶でも浄化できないことに全員の頭に最悪の事態が過ぎった。
 重たい空気が部屋に立ちこめる中、鋭い眼差しをしたクイーンが顔を上げる。

「……ネプチューンに、かけるしかありませんね」

 クイーンは静かに呟くとプルートに20世紀へ向かったネプチューンとコンタクトを取り、今分かっていることを報告するようにと告げる。プルートはその言葉に頷くとガーネットオーブを掲げた。
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