前編
「キヒヒッ! なんだ、セーラー戦士ったって大したことないじゃん!」
人型をした妖魔は倒れ伏すセーラームーンたちを見ながら笑う。太陽系外から紛れ込んだ妖魔は警戒すべき強敵と言われたセーラー戦士は大したことがないじゃないかと内心思っていた。
「さて、銀水晶の在処を教えて貰うぜ。キヒッ」
「うっ……!」
セーラームーンを持ち上げ、妖魔は笑う。マーズやヴィーナスは悔しそうに顔を歪めながらセーラームーン! と叫ぶ。
そんな時、妖魔とセーラームーンの間に風が吹いた。次の瞬間、妖魔は後方に吹き飛び横から巨大な海流のエナジーを受けた。
「うっ……! げほっ、ごほっ……!」
妖魔は鳩尾を押さえて咳き込む。血を吐くほどの衝撃を受けた上にエナジーが直撃した半身は爛れていた。
顔を上げるとセーラームーンを抱えた群青の戦士と傍らに寄り添うように立つ深緑の戦士がいた。
「全く、こんなヤツ相手に手こずっていたのか」
「ウラヌス! ネプチューン!」
2人の戦士の登場にそれまでと一変した明るい顔を浮かべるセーラー戦士たち。妖魔は直感的に分かった。この2人は他の戦士とは違うと。
ウラヌスはポイッと放り投げるようにセーラームーンを投げる。尻もちをつきそうになるが地面に落ちる直前にタキシード仮面が抱えた事でそれは回避された。
「もー! ウラヌス! 危ないじゃない!」
「それは王子様の役割だろ。それに、僕のプリンセスがそろそろ我慢の限界そうだったからさ」
「あら、誰のことかしら」
ネプチューンは綺麗な笑顔を浮かべてウラヌスを見る。綺麗すぎて、ウラヌス以外の者は逆に怖かった。
ウラヌスはそれに肩を竦ませるだけで答えると鋭い視線を妖魔に向ける。向けられた妖魔は金縛りにあったように体が硬直し、逃げることが出来なくなった。
「さて、お前はここまでだ」
ウラヌスは右手にエナジーを溜めていく。巨大なエナジーの塊に妖魔は自分の死期を悟った。そして、放たれた光で視界が真っ白になる瞬間、最も警戒すべきセーラー戦士はコイツだったのだと理解した。
「ウラヌス……」
「アイツは本来僕らの敵だ。外部から侵入した敵は僕ら外部太陽系の管轄だと前にも言っただろう」
ウラヌスの攻撃で跡形もなく消し飛んだ妖魔。その妖魔がいた場所を見つめるウラヌスにセーラームーンが声をかけるがウラヌスは振り返らずにそう呟くだけだった。
ネプチューンはそんなウラヌスの横に寄り添うと優しくウラヌスの右手を取った。覗き込んでくるネプチューンにウラヌスは困ったように微笑むと溜息を吐いてセーラームーンを振り返る。
「ま、デス・バスターズの時も、ギャラクシアの時も、結局僕らはまともに自分の使命を全う出来ないまま君たちと共闘するわけになったわけだけど」
「ウラヌス……!」
「でも、それで良かったと思ってる。君たちのおかげで僕らは救われた。けど根本的に戦い方が違うこと、本来外部の敵は僕らの管轄だということだけは分かっていてくれ」
自身を卑下しながら言うウラヌスに戦士たちは声を上げるが続くウラヌスの言葉に思わず頷いてしまった。
じゃ、先に失礼するよ、とウラヌスとネプチューンはその場を後にした。
***
「セーラーウラヌス……か」
暗闇の中、その一言だけが響く。椅子の肘掛けに頬杖をつきながらウラヌスと妖魔との戦闘を見ている者がいた。
「お呼びでしょうか」
物音1つさせず、椅子の背後に現れ膝をつく部下にウラヌスを見ていた者はニヤリと笑う。
「太陽系セーラー戦士最強……どれほどの力の持ち主か試したい」
「……では、私が先陣を」
「いや、我が行く」
「ですが、コミティス様……!」
コミティス、と呼ばれた男は少しだけ顔を振り返らせ声を荒らげる部下を睨み付ける。部下はそれ以上声を上げることは許されずただ主人の決定に従うしかなかった。
「目的を遂行させるのに焦る必要は無い。楽しみも時には必要だろうて、スクーパ」
「そういう、ものでしょうか」
スクーパ、と呼ばれた部下は困惑しながらも頷く。
「じわじわと時間を掛けるのも我は好きだ。それに、我らが準備をしている間に運良くアレを滅ぼせる者がいるやもしれん。そうなった方が楽に目的は遂行できる」
コミティスの言葉に理解不能だと言うように顔を顰めるスクーパだったがコミティスは特に注意をするでもなく立ち上がる。
その目はもうウラヌスだけを見ていた。
人型をした妖魔は倒れ伏すセーラームーンたちを見ながら笑う。太陽系外から紛れ込んだ妖魔は警戒すべき強敵と言われたセーラー戦士は大したことがないじゃないかと内心思っていた。
「さて、銀水晶の在処を教えて貰うぜ。キヒッ」
「うっ……!」
セーラームーンを持ち上げ、妖魔は笑う。マーズやヴィーナスは悔しそうに顔を歪めながらセーラームーン! と叫ぶ。
そんな時、妖魔とセーラームーンの間に風が吹いた。次の瞬間、妖魔は後方に吹き飛び横から巨大な海流のエナジーを受けた。
「うっ……! げほっ、ごほっ……!」
妖魔は鳩尾を押さえて咳き込む。血を吐くほどの衝撃を受けた上にエナジーが直撃した半身は爛れていた。
顔を上げるとセーラームーンを抱えた群青の戦士と傍らに寄り添うように立つ深緑の戦士がいた。
「全く、こんなヤツ相手に手こずっていたのか」
「ウラヌス! ネプチューン!」
2人の戦士の登場にそれまでと一変した明るい顔を浮かべるセーラー戦士たち。妖魔は直感的に分かった。この2人は他の戦士とは違うと。
ウラヌスはポイッと放り投げるようにセーラームーンを投げる。尻もちをつきそうになるが地面に落ちる直前にタキシード仮面が抱えた事でそれは回避された。
「もー! ウラヌス! 危ないじゃない!」
「それは王子様の役割だろ。それに、僕のプリンセスがそろそろ我慢の限界そうだったからさ」
「あら、誰のことかしら」
ネプチューンは綺麗な笑顔を浮かべてウラヌスを見る。綺麗すぎて、ウラヌス以外の者は逆に怖かった。
ウラヌスはそれに肩を竦ませるだけで答えると鋭い視線を妖魔に向ける。向けられた妖魔は金縛りにあったように体が硬直し、逃げることが出来なくなった。
「さて、お前はここまでだ」
ウラヌスは右手にエナジーを溜めていく。巨大なエナジーの塊に妖魔は自分の死期を悟った。そして、放たれた光で視界が真っ白になる瞬間、最も警戒すべきセーラー戦士はコイツだったのだと理解した。
「ウラヌス……」
「アイツは本来僕らの敵だ。外部から侵入した敵は僕ら外部太陽系の管轄だと前にも言っただろう」
ウラヌスの攻撃で跡形もなく消し飛んだ妖魔。その妖魔がいた場所を見つめるウラヌスにセーラームーンが声をかけるがウラヌスは振り返らずにそう呟くだけだった。
ネプチューンはそんなウラヌスの横に寄り添うと優しくウラヌスの右手を取った。覗き込んでくるネプチューンにウラヌスは困ったように微笑むと溜息を吐いてセーラームーンを振り返る。
「ま、デス・バスターズの時も、ギャラクシアの時も、結局僕らはまともに自分の使命を全う出来ないまま君たちと共闘するわけになったわけだけど」
「ウラヌス……!」
「でも、それで良かったと思ってる。君たちのおかげで僕らは救われた。けど根本的に戦い方が違うこと、本来外部の敵は僕らの管轄だということだけは分かっていてくれ」
自身を卑下しながら言うウラヌスに戦士たちは声を上げるが続くウラヌスの言葉に思わず頷いてしまった。
じゃ、先に失礼するよ、とウラヌスとネプチューンはその場を後にした。
***
「セーラーウラヌス……か」
暗闇の中、その一言だけが響く。椅子の肘掛けに頬杖をつきながらウラヌスと妖魔との戦闘を見ている者がいた。
「お呼びでしょうか」
物音1つさせず、椅子の背後に現れ膝をつく部下にウラヌスを見ていた者はニヤリと笑う。
「太陽系セーラー戦士最強……どれほどの力の持ち主か試したい」
「……では、私が先陣を」
「いや、我が行く」
「ですが、コミティス様……!」
コミティス、と呼ばれた男は少しだけ顔を振り返らせ声を荒らげる部下を睨み付ける。部下はそれ以上声を上げることは許されずただ主人の決定に従うしかなかった。
「目的を遂行させるのに焦る必要は無い。楽しみも時には必要だろうて、スクーパ」
「そういう、ものでしょうか」
スクーパ、と呼ばれた部下は困惑しながらも頷く。
「じわじわと時間を掛けるのも我は好きだ。それに、我らが準備をしている間に運良くアレを滅ぼせる者がいるやもしれん。そうなった方が楽に目的は遂行できる」
コミティスの言葉に理解不能だと言うように顔を顰めるスクーパだったがコミティスは特に注意をするでもなく立ち上がる。
その目はもうウラヌスだけを見ていた。