元生徒副会長は迎え入れる
「おはようございます」
「いや、黒ッ!!」
孝太郎のこともあり、静まり返っていた教室が、コイツが入って来たことによって騒がしくなる。日焼けをする為にアフリカに行ったらしいが、まるで墨汁を染み込ませた紙だ。
人混みの中でも目立たないと、自信満々に笑うアイツに岡野は疑問を口にした。
「そもそも何のために?」
「もちろん、竹林君のアフターケアです」
新しい環境に馴染めているかどうか、教師としてしばらく見守る義務がある、か。本来ならば、教師がそこまでする必要はない。
だが、それをやってみせるのが、コイツだ。
「……俺らもちょっと様子見に行ってやっか」
「抜けんのはしょーがないけど、竹ちゃんが、理事長の洗脳でヤな奴になったらやだなー」
離れていても、一度結ばれた絆は簡単には解けない。あんな話を聞かされて、放っておく方が難しい。俺も大分、この教室に絆されたようだ。
親の鎖に縛られる気持ちは分からないが、心配ぐらいはさせて欲しい。