元生徒副会長は自覚する
「あ、司起きてるじゃん」
「ホントだ」
肝試しから帰ってきたカルマ達が部屋に入るなり、俺の周りをわらわらと囲い込む。何故こんな状況になった。俺が戸惑っていると、カルマがにやにやと笑う。
烏間先生に助けを求めようとしたが、先生はいつの間にか部屋を退室していた。
「カルマから聞いたぞ。俺達の為に命張ってくれたんだってな」
「……カルマめ」
言わなくていいものを、アイツは何の躊躇いも無く話す。潮田に心配した、そう言われ俺も少なからず反省している。
あのまま転落していれば、もう二度と皆と話せなかっただろうしな。
「天霧が……、司が無茶したってのも聞いた」
そこまで話したのか。刺さるような周りの視線に、俺は布団に視線を落とす。だが、それは途中で阻まれた。
頬を両手で前原に挟まれ、顔を上げさせられる。
電気の明るさに一瞬目を閉じたが、もう一度ゆっくり開くと、前原はニッ、と笑う。
「皆と話し合って決めた。司は放っておくとどっかに行きそうだから、何処かへ行くときは必ず俺達の誰かを連れて行くこと!」
「は?」
何だそれは、俺は幼児か。
冗談だとしても、立ちが悪い。しかし、俺の頬を挟んでいる前原の目はふざけているようには見えなくて、俺はひたすら困惑した。
「あ、それと!千葉だけ名前呼びってのもずりぃよな。つーわけで、司は強制的に俺達を名前で呼ぶこと!」
「あ、ああ」
何を言われると思えば、そんなことでいいのか。迷惑を掛けた罰にしては、余りにも軽すぎる気がする。
いや、そもそもコレは罰とは言えない。
「陽斗」
「お、おう」
全く。名前を呼べと言い出した奴が、何を照れているんだ。