生徒副会長は堕ちる
学秀side
『おい、聞いたか?』
あいつが、あの馬鹿が巫山戯たことを抜かした翌日、本校舎ではある噂が広がっていた。"あの副会長が、エンドのE組に落ちた"。
いつもならば、只のくだらない噂に過ぎないと聞き流す。
だが、今回はそれが出来ないのだ。あいつから直接聞いたから。
「一番最初は、お前に伝えておきたかった」
俺は、E組に行こうと思う。
最初は、何の冗談だと思った。それでも、あいつの表情は真剣そのもので、すぐに考えを改めるように促した。それだというのに、あの石頭。無理だと断言して、部屋を退室しようとする。
久し振りに、頭に血が上った。
わざわざ自ら進んで、地に堕ちるのも、何かを見透かしたようなその瞳も。僕の先にいるお前が。
「ま、副会長もその程度――ヒッ」
――何よりも、生徒会長と副会長、ただのクラスメイトとしての手駒だと考え、対等な友人としてあいつを見れなかった自分にも。
「か、会長?…どうされたんですか?」
「……何でもないよ。ただ、煩い虫が飛んでいたからね」
僕としたことが。頭が冷えて行くのを感じながら、激情に任せて殴った壁を見る。新品のように綺麗だった壁が見事にへこんでいた。
ああ、虫唾が走る。