生徒副会長は堕ちる
「あっれー、副会長じゃん。どうやってE組に落ちてきたわけ?」
「……赤羽か」
飄々とした声が聞こえ、後方の座席に目を向けると夕焼け色の赤髪が目に映る。胡散臭さが漂う笑顔を浮かべながら告げられた疑問に、舌を巻いた。
どうやって、E組に落ちたか。
赤羽は確かにそう言った。
どうして、E組に落ちた―――のはではなく。
「理事長に不逞を働いた。それだけだ」
「ははっ、サイコーじゃん」
通常ならば、人は何故、と物事に疑問を持つ。それに対して、赤羽は過程に対して疑問を抱いて聞いて来た。そこまで考えると、自然と笑みがこぼれた。
途端、数名の手が天井に向かって伸びる。
「はい。色々と質問はあると思いますが、授業を始めます。天霧君の席は…カルマ君の隣です」
「分かりました」
黄色い生物に従って、赤羽の隣の席に腰を下ろす。鞄を掛けようと斜め横を向くと、赤羽がヒラヒラと小さく手を振っていた。
「何だ、赤羽」
「カルマでいいよ。あ、俺も名前で呼んでいい?」
「ああ」