元生徒副会長は夏休みを迎える
「さて、皆さん。全教科の採点が届きました」
試験を終えた三日後に、それは届いた。アイツが持っている封筒の中に、採点を終えたテストの答案が入っている。
「では、発表します」
まずは、英語から。E組の一位が発表されるのを、クラス中が固唾を呑んで見守る。しかしながら、アイツは中々発表しようとしない。
何人か不安げな表情を浮かべ始めた途端、アイツはニヤッと笑った。
「がんばりましたね。学年でも同率一位!中村莉桜、天霧司!」
頬を緩めながら答案を受け取る中村の後に、俺も受け取った。続いて国語。E組一位は神崎。だが、学年一位は学秀だった。
手元にある答案用紙を眺める。
俺が間違えていたのは、やはり読解問題。そう簡単にはいかないか。
「では、続けて返します。社会!E組一位は天霧君!そして学年一位も―――天霧君です!」
これで2勝1敗だ、と教室内が盛り上がる。
次に発表されたのは、理科。E組一位、学年一位も俺。この時点でE組の勝ち越しが決定した。
「最後に数学です。おめでとうございます、天霧君!浅野君に並んで一位です」
「うおおおぉぉお!!天霧ぃぃぃいい!!」
「俺はお前を信じていた!!」
暑苦しい輪から抜け出し、隣の空席に視線を遣る。以前、真っ先に俺の答案を奪い取ったカルマは居ない。
天霧司
英語 100点
国語 95点
社会 100点
理科 100点
数学 100点
「てことは、賭けの商品のアレも頂きだな!」
「楽しみ~」
今年の期末テストは、一味違った。
カルマの優秀さ故の余裕が仇になったのだろう。自ら怠ける者に、掛ける言葉は無い。
総合点数495点―――学年一位。天霧司。