元生徒副会長は夏休みを迎える
「こら、カルマ君!真面目に勉強やりなさい!」
後日、教室内にカルマを説教するアイツの姿があった。当の本人は、いかにも余裕といった態度で教科書を顔の上に乗せ寝る体制に入る。
カルマは学秀や五英傑をナメすぎだ。
いくら俺でも、予習や復習を行わないと順位何てものは簡単に覆る。
「あんた最近、フツーの先生みたいに安っぽくてつまんないね」
それより、どーすんの?、と言ってカルマは話を逸らす。俺も先程聞いた話だが、昨日潮田達が図書館で勉強していると、流れで五英傑とテストの結果で勝負することになったらしい。
負けたクラスには、どんなことでも命令できる権利が与えられる。
「なーんか裏で企んでる気がするよ」
「心配ねーよ。このE組がこれ以上、失うモンありゃしない」
心配ないと岡島が言うと、学食の使用権が欲しいと倉橋が勝った際に命令できる権利に夢を馳せる。
「一つだけ、か」
勝った方が、
あちらから提示した条件だ。
考えれば、この条件には抜け道がある。基本事項の具体的な細目を定める書面の、協定書に同意する――にした場合、一つどころかいくつでも命令できる。
俺が考える程だ。学秀が、それを考え無いはずが無い。
「ヌルフフフ、それについては先生に考えがあります」
そう言ってアイツは、俺達に椚ヶ丘中学校のパンフレットを見せた。そのページに記載された場所は、俺たち学生にとっては喉から手が出る程羨むモノ。
誰も、反対などしない。
「君達は一度、どん底を経験しました。だからこそ、次はバチバチのトップ争いも経験して欲しいのです」
褒美は、アイツの触手を破壊する権利に加え、パンフレットの先にあるモノ。一気にクラスの顔付きが変わる。
理事長の教育方針を壊せるこんなチャンスは二度と来ない。
そう思ったが、あの時と見違えた全員の変化を見て断念することにした。