元生徒副会長は思い出す


寺坂side


「う、嘘だろ」


 水に流されるE組のアイツ等を見て、震える手で銃を落とす。ただ、俺はあのタコや慣れ合うアイツ等にイラついていただけだった。

 そんな時、シロがこの話を持ってきた。
 小遣いも貰えて、タコも殺せる上手い話に俺は乗った。


これ・・、こんなことするスイッチだなんて聞いてねーよ……」

 この銃は、引き金を引くとシロとイトナに合図を送る発信機だったはずだ。そしたら、イトナが駆けつけて水に落とす算段。

 爆破させるなんて、一言も言ってなかった。


「……話が違げぇ。どうなってんだよ!」

 水中から助けを求める腕。もがき苦しむ、アイツ等の声。自分がやらかしたことに、だんだん血の気が引いて行く。


「成る程ねぇ。自分で立てた計画じゃなくて、まんまとあの二人に操られてた、ってわけ」

 背後から聞こえた声に、勢い良く振り返る。いつになく真剣な眼差しで、崩壊したプールを眺めるそいつを見て、胸倉を掴み上げた。


「……何」
「言っとくが、俺のせいじゃねえぞカルマ!!」


 そうだ、これは俺のせいじゃねえ。
 皆が流されたのも、こんなことさせたアイツ等が悪いんだ。

 ――俺はただ、やらされただけで。



「―――ッ、っンだてめ!」

 頬に走った激痛に、尻餅をつく。やり返そうと立とうとしたが、カルマの眼を見て身体が固まった。


「標的がマッハ20で良かったね。でなきゃお前、大量殺人の実行犯にされてるよ」


 流されたのは、皆じゃなくて自分。

 その言葉を聞いて、頭が冷えてきた。結局、俺は良いように使われて罪まで擦り付けられて、ゴミみてぇに捨てられる。


「人のせいにする暇あったら、自分の頭で何したいか考えたら?」


 俺に出来ること。そう考えた時、天霧の姿が思い浮かぶ。
 引き金を引く前、確かアイツは水の中に潜ってやがった。―――やべえ。


「待て、カルマ!!」

 あんな衝撃モロに喰らって、無事で居られるはずがねえ。くだらない嫉妬であんなことまで言って、本当に俺は馬鹿だ。

 くたばってんじゃねえぞ――天霧!!



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