元生徒副会長は転校生と邂逅する



「おはようございます、皆さん」


 挨拶する律の声音に感情は無い。
 烏間先生の説明によると、開発者が元通りにしたらしい。今後は改良行為も危害と見なし、縛って壊しでもしたら賠償を請求するとのことだ。

 厄介な開発者だな。


「攻撃準備を始めます。どうぞ授業に入ってください、殺せんせー」

 無表情で告げられた言葉に、初日のような惨劇を思い起こす。これには黄色い生物も頭を抱えている。だが、俺は確信していた。ダウングレードしてから初の初動――銃声は聞こえない。


「花を作る約束をしていました」

 物騒な銃に変わり、展開されたのは色とりどりの花束。静寂の中、律は続ける。


「殺せんせーは私のボディーに計985点の改良を施しました。その殆どは、開発者マスターが暗殺に不要と判断し、削除・撤去・初期化してしまいましたが――」


 満遍なく笑みを浮かべた律が、俺を見る。


「あの日、天霧さんが言いました。お前は開発者の言いなりになる只の機械かと。いいえ、違います!私個人・・・が消される前に関連ソフトをメモリの隅に隠しました」


 つまり、律は己の意思で開発者に逆らった。所謂、誰もが一度は迎える反抗期。
 実に人間らしい、年頃の箱入り娘だ。



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