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「山賊に追われて逃げてきた。しばらく泊めてくれ」

 嫁いだ娘は里開さとびらきの後、出戻らない限りは死ぬまで実家に戻ることはない。

すぐに出戻るつもりで嫁いだ叔母の美帆も同様だったので、俺は学問所の仲間と旅に出て豫州潁川で山賊から逃げた時くらいしか嫁いだ後の美帆を知らない。

「何やってるのよ、とう。部屋は余っているからいいけど」

 美帆は7歳年上で、叔母というより姉のようだった。

冗談めいた感じで叔母さんと呼ぶことはあっても、基本は名で呼び合っていたし、今でも「美帆はこうだった」と思い出す。
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